村上陽子(著)
四六判 300ページ 並製
定価 3600円+税
ISBN978-4-7872-9286-5 C0095
書店発売予定日 2026年07月27日 登録日 2026年06月05日
沖縄文学には、かすかな声やかたちをとっていない記憶、言葉をもたない存在の気配などが宿っている。表現者たちはどのようにそのざわめきにふれ、言語化しがたい戦争・差別・暴力・支配などの記憶を書いてきたのか。性暴力の被害者、被爆者ほか周縁化されてきた人たちの声は、文学のなかにどのように響いているのか。そして、読み手はその声を聞き取ることができるのか。
大城立裕、大江健三郎、目取真俊、崎山多美、仲程昌徳たちのテクストや実践を取り上げ、アメリカ軍による暴力、在沖被爆者などの記憶や声に着目する。さらに、沖縄の教科書や、日本語を「かきまぜる」表現者の文体戦略にも焦点を当て、沖縄文学がどのように教えられてきたかをたどり、日本語/日本文学のありようも照らし出す。
沖縄文学に息づく「ざわめき」に耳を澄まし、テクストとの共鳴から読むことの可能性を探る。
【目次】
はじめに
序 章 〈他なる生〉を身に帯びる
1 砂の言葉を読む
2 沖縄文学と〈他なる生〉
3 本書の概要
第1章 沖縄を描く言葉の探求――沖縄近代文学と〈しまくとぅば〉
1 表現言語の底流に潜む響き
2 「琉球語」の位置づけ――山城正忠「九年母(くねんぼ)」
3 逃げ場としての「辻」――池宮城積宝「奥間巡査」
4 〈沖縄〉の不在――久志富佐子・山之口貘
第2章 戦争の記憶に向き合う読みの実践
1 戦争の記憶を編むこと
2 仲程昌徳という存在
3 『沖縄の戦記』が引いた線
4 『手記』の空白と「日記」の繰り返し
5 戦争の記憶を読むこと
第3章 「日本人」の変容の可能性に向けて――大江健三郎『沖縄ノート』
1 『沖縄ノート』が提示した問い
2 「日本人」を問うこと
3 広島から沖縄へ
4 加害の認識にとどまることなく
5 死者を身のうちに宿す
第4章 沖縄の被爆者をめぐる記憶と記録
1 沖縄の被爆者という存在
2 蜂谷道彦『ヒロシマ日記』に潜む声
3 大牟田稔「沖縄の被爆者たち」が示す空白
4 福地曠昭編著『沖縄の被爆者』の訴え
第5章 沖縄・海洋博の爪痕――大城立裕『華々しき宴のあとに』
1 海洋博と大城立裕
2 変容していく島
3 観光という〈戦争〉
4 ヤマトンチュがもたらした影響
5 切り売りされる文化
6 宴のあと
第6章 〈沖縄〉を教える――沖縄県の国語科副読本
1 国語教材としての沖縄文学
2 『高校生のための古典副読本 沖縄の文学』の刊行
3 大城立裕「カクテル・パーティー」の教材化
4 『高校生のための副読本 沖縄の文学 近代・現代編』の刊行
5 〈国語〉と〈沖縄〉
第7章 身体を生きることの痛みに向けて――目取真俊「面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ)」
1 死者の声にふれる
2 死という変容
3 身体を生きることの苦しさ
4 海洋博と皇太子来沖
5 身体を生きる者たちへの呼びかけ
第8章 痛みの記憶をつなぐ針――目取真俊「眼の奥の森」
1 読むことが引き出す複数の意味
2 少女たちの記憶
3 男たちの記憶
4 出来事を縫いとめる
第9章 イクサの記憶を生きる身体――崎山多美「うんじゅが、ナサキ」
1 攪乱的文体と身体の躍動について
2 身体的な読み方とリズムの獲得に向けて
3 隠微な韻律に抗う
4 「Qムラ」という空間
第10章 声の〈引き継ぎ〉に向けて――崎山多美『月や、あらん』
1 声を引き継ぐという希望
2 声を聞くための回路
3 声を引き出すという暴力
4 「ドジン化」を促す「ヨミ」の実践
5 聞き手になること
6 マブイたちのざわめき
終 章 読むこと、かきまぜられること
1 沖縄文学を読むこと
2 かたくなな身体を解きほぐす
3 変わる私と私の言葉
初出一覧
おわりに
歴史修正主義とサブカルチャー書店発売日
田原俊彦論書店発売日
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