青弓社ルネサンス 7
文芸
一柳 廣孝(著)
A5判 266ページ 上製 定価 2800円+税 ISBN978-4-7872-9257-5 C0395 在庫あり
書店発売日 2021年01月08日 登録日 2020年11月24日
明治半ば以降、一気に広まった不思議な遊び「こっくりさん」、人々を熱狂させた催眠術、透視をめぐる論争を巻き起こした千里眼事件を掘り起こし、それらに通底していた心霊学と科学の相克を描き出す。明治期のオカルト現象から日本の近代化の一側面を照らす。
1970年代のオカルトブームによって広く知られるようになった心霊現象の数々。現在では多様なメディアがこれらのアイテムを物語に取り込み、消費している。では、これらを束ねる「心霊」という解釈格子は、はたしてどこからやってきたのだろうか。 明治半ば以降、一気に広まった不思議な遊び「こっくりさん」、人々を熱狂させた催眠術、透視をめぐる論争を巻き起こした千里眼事件を掘り起こし、それらに通底していた心霊学と科学の相克を描き出す。 「信仰」「迷信」「心」と「科学」のあわいに発生して、多くの人々の耳目を引いた明治期のオカルト現象から、日本の近代化の一側面を照らす怪異研究の古典を復刊。千里眼事件の再検討や大正期の催眠術の受容、「こっくりさん」の戦後を扱った論考を増補し、東雅夫氏による解説も所収する。
第1部 〈こっくりさん〉と〈千里眼〉 はじめに 第1章 明治のこっくりさん 1 「こっくりさん」の流行 2 近代心霊学の誕生 第2章 催眠術と「煩悶の時代」 1 催眠術の流行 2 「煩悶の時代」 3 明治というカオス 第3章 千里眼と科学 1 最初の千里眼 2 心霊学の流行 3 長尾郁子と「丸亀事件」 4 葛藤――千里眼と科学 5 「迷信」という封印 第4章 科学のゆくえ・心霊学のゆくえ 1 大正期以降の心霊学 2 ニュー・サイエンス 3 おわりに 参考文献 あとがき 第2部 その後の〈こっくりさん〉と〈千里眼〉 第1章 千里眼は科学の分析対象たりうるか はじめに 1 今村新吉「透視に就て」の問題機制 2 千鶴子の透視実験と各学問ジャンルの対応の諸相 3 念写の登場と京大光線の発見 4 千里眼は科学の分析対象たりうるか おわりに 第2章 催眠術と霊術のあいだ はじめに 1 雑誌「心理研究」の位置 2 「心理研究」応答欄と催眠術 3 隆盛する霊術へのまなざし 4 噴出する福来批判 おわりに 第3章 「こっくりさん」の変容 はじめに 1 「こっくりさん」の生成――一九七〇年代のブームまで 2 「こっくりさん」の変容 3 少女文化としての「こっくりさん」 おわりに――筆仙・碟仙・「こっくりさん」 初出一覧 増補版あとがき 解説 いま蘇る「一柳世界」の原点 東 雅夫
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