社会一般
鈴木 智之(著)
四六判 352ページ 上製 定価 3000円+税 ISBN978-4-7872-9190-5 C0095 在庫あり
奥付の初版発行年月 2009年08月 書店発売日 2009年08月26日 登録日 2010年02月18日
村上春樹の主要作品のうち『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』を取り上げ、2つの物語に私たちが生きている現実世界の痕跡を読み取っていく。記憶・他者・身体というキーワードから、恐怖に満ちたこの世界を生き延びるスタイルを模索する。
物語をめぐる物語、としての小説 第1部 記憶・他者・身体――『ノルウェイの森』と自己物語の困難 序 章 自己物語の氾濫/困難 第1章 想起(の物語)の失敗 1 記憶のための物語/証言のための物語 2 共有された死者の記憶 3 物語の座礁と語りの再編成 4 第一の企図の放棄 5 物語の破綻と残された問い 第2章 身体/他者――自己物語とそのさまざまな困難 1 自己物語の困難 2 他者とともにあることの困難――「永沢」と「ハツミ」 3 身体を生きることの困難――「レイコ」 4 重要な共演者の死 第3章 「直子」――沈黙する身体 1 病いの語り 2 行き違う物語 3 「再入場への恐れ」と「待望者」の誤謬 4 神話化する身体/夢想化する記憶 5 証言の失敗 第4章 「緑」――語り続ける身体 1 語り手としての「緑」 2 物語を受け取ることの困難 3 作り話、あるいは嘘つきの戦略 4 境界画定のゲーム 5 コンティンジェント・セルフ 終 章 忘却の忘却としての物語 1 生存の論理/死者の物語 2 忘却としての語り直し 3 ループする語り 4 浮上し続けるものとの闘い 第2部 災厄の痕跡――日常性をめぐる問いとしての『ねじまき鳥クロニクル』 序 章 日常性への問い 第1章 他者の同一性=正体をめぐる物語 1 他者の徴候――「泥棒かささぎ編」 2 横滑りする問い――「予言する鳥編」 3 他者に物語(名)を与える物語――「鳥刺し男編」 4 他者性の寓意としての「電話の女」 5 他者の行方 第2章 偶発的身体 1 身体が呼び起こす物語 2 身体とその二つの状態 3 身体をめぐる権力とその二つの顔 4 変身 5 闘争の二つの文法 6 身体・権力・日常性 第3章 飽和する記憶 1 戦後の物語/戦時の記憶 2 挿入される戦場の記憶 3 戦時の記憶とその両義性 4 無の贈与/記憶の贈与 5 開かれた物語/飽和する記憶 6 時を損なう者/時を繕う者 7 可能なる起源 8 〈起源〉への降下 9 記憶/時間/生命 10 災厄の記憶と再生への賭け 終 章 恐怖の持続 そして、物語は続く あとがき
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