青弓社ルネサンス 5
芸術
西原 稔(著)
A5判 308ページ 上製 定価 3000円+税 ISBN978-4-7872-7331-4 C0373 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2013年05月 書店発売日 2013年05月18日 登録日 2013年03月14日
ピアノが誕生して楽器として進化する背景には産業革命があった。技術革新と市場開拓が相互に影響して商品として普及し、富の象徴としてだけではなく「繁栄する未来」を予見させもした歴史的な過程に迫り、ピアノと近代産業化の関連性を丁寧にひもとく社会史。
第1部 ピアノの誕生――楽器の向こうに「近代」が見える はじめに 第1章 戦争と革命が発展を促す 1 歴史のなかのピアノ 2 イギリス・アクションの勝利 3 新しい時代の幕開け――スタインウェーの登場 第2章 産業の楽器 1 ピアノ一台、部品は三千八百 2 技術と美意識との葛藤 3 ピアノ三国志 第3章 ヴィルトゥオーソの時代 1 ピアノ製造に乗り出す 2 エチュードの思想 3 ペダルに託したロマンティシズム 第4章 ピアノという夢 1 家族の肖像 2 『乙女の祈り』 3 消費される音楽 第5章 ピアノ狂騒曲 1 ピアノ教師受難の時代 2 ヴィルトゥオーソ養成ギプス 第6章 自動楽器 1 変貌しつづける楽器 2 機械じかけの音楽 3 コンサート・ホールからの解放 第7章 日本のピアノ 1 明治の洋楽 2 国産化への情熱 3 西洋という理想 おわりに あとがき 第2部 近代産業とピアノ――ベートーヴェンとリストの苦悩 第1章 ピアノと鉄の文化 1 鉄のフレームと音響 2 鉄のフレーム略史 3 鋳鉄のフレームの工法 4 フレームの形状 5 ピアノの鉄の材質 6 手作りフレームと自動製造のフレーム 第2章 ベートーヴェンとピアノ 第3章 フランツ・リストと十九世紀社会 1 リストという現象と十九世紀ピアノ文化 2 サロン文化のヨーロッパとリスト 3 リストの社会改革の思想と音楽 4 ドイツ国家主義とリスト 第4章 十九世紀社会の音楽――労働と消費、家庭と国家の力学のなかの音楽 1 十九世紀市民階層と音楽への消費 2 市民社会形成の指標としてのピアノ文化と合唱文化 3 十九世紀教養市民階層での価値観――歴史意識と宗教趣味 4 クラシック文化と大衆化文化とサブカルチャー――ストック価値とフロー価値 5 家庭と国家の力学のなかの音楽 第5章 兼常清佐と西洋音楽 1 兼常の西洋音楽に関する基礎知識と教養 2 兼常のベートーヴェン論と音楽史解釈 3 ピアノの音の本質を求めて 初出一覧 増補版あとがき 解題 ピアノは人造人間の夢を見るか? 許 光俊
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