門林 道子(著)
四六判 320ページ 並製
定価 3400円+税
ISBN978-4-7872-3567-1 C0036
書店発売予定日 2026年01月08日 登録日 2025年10月29日
2人に1人ががんになり、終末期であっても告知を受ける現代では、病と主体的に関わることを求められる。では、「病とともに主体的に生きる」とはどのような経験なのか。「自らの病の経験を書く」ことにどのような意味があるのか。
本書は、1920年代に闘病という言葉を生み出した小酒井不木の著作をはじめ、小林麻央など現代の著名人、さらには現役の医師が書いた闘病記まで、100冊を超える闘病記を丹念に読み解く。海外で書かれた病気体験記の事例やジェンダーの視点を組み込みながら、「闘う」から「ともに生きる」へと変化してきた闘病記の歴史をたどり、そこに刻まれた医療や社会、死生観の変化を追う。
結核やがんが「不治の病」と呼ばれた時代から病と共存する現在への移り変わりのなかで、患者が現実を受け入れて自己の経験をつづり、患者同士をつなげる闘病記という「生の声」に光を当てて、私たちの生き方や望ましい医療のあり方を根本から問い直す。
まえがき
第1章 つなぐ・つなげる闘病記――患者主体の医療を目指して
1 いま、なぜ闘病記か
2 増加するネット闘病記
3 小林麻央さんとブログ
第2章 海外で書かれた病気体験記
1 二つの問題意識
2 ルース・ピカディ『さよならはまだ言わない』
3 記者が自らのがん体験を紙面に書くということ
4 イギリスでの闘病記に関する調査
5 最近のロンドンで
6 昨今、話題になったがん体験記
第3章 小酒井不木と『闘病術』『闘病問答』
1 闘病という社会的造語
2 『闘病術』
3 『闘病問答』
4 『新書 闘病術』
5 小酒井不木の死
6 探偵小説家としての小酒井
7 闘病の先覚者
8 闘病の広がりと「「闘病」記」の出現
第4章 結核からがんへ
1 病に打ち勝った正岡子規
2 岩瀬又吉『肺病征服記』
3 『郷愁記』について
4 働き盛りの無念
5 闘病記という言葉の一元化
第5章 乳がんと闘病記
1 乳がん闘病記の内容――二〇〇〇年代初頭まで
2 医師・小倉恒子が残したもの
3 現代の乳がん闘病記
第6章 闘病記を書くということ
1 闘病記を書くことの意味
2 書くことでのケア――臨床応用の試み
第7章 闘病記の現在
1 肯定的変化とレジリエンス
2 AYA世代のがん闘病
3 医師が書いた闘病記
第8章 家族が書く闘病記と闘病記の将来
1 家族が書く闘病記――悲嘆とレジリエンス
2 闘病記の将来
巻末資料 闘病記一覧
初出一覧
あとがき
歴史修正主義とサブカルチャー書店発売日
田原俊彦論書店発売日
国道16号線スタディーズ書店発売日162-0801 東京都新宿区山吹町337
電話:03-3268-0381
ファクス:03-3268-0382
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