嶋﨑 尚子(著) / 中澤 秀雄(著) / 島西 智輝(著) / 清水 拓(著) / 張龍龍(著) / 笠原 良太(著)
A5判 224ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3544-2 C0036
在庫あり
書店発売日 2024年08月27日 登録日 2024年06月28日
台湾炭鉱をひもとけば、石炭産業の機械化以前の原初形態を知ることができ、さらに台湾の歴史や社会を学ぶことができる。
本書では、台湾最大だった瑞三炭鉱を中心に戦後の石炭産業を概観して、基本的な知識や情報を提示する。そのうえで、瑞三炭鉱の中心的な人物とその一族の人生を聞き書きで再現して、台湾炭鉱で働いた労働者や家族の仕事と暮らしを描き出す。さらに、炭鉱遺構をめぐる記憶保存と地域再生の現在の動きにも目配りする。
台湾炭鉱の労働者とその職場の歴史から、厳しい環境のなかで日々の生活のために協働してきた「誇り」の軌跡をたどり、観光地ではない「もう一つの台湾」を掘り起こす。
はじめに 中澤秀雄
序 章 台湾炭鉱への招待 中澤秀雄
1 台湾北部の炭鉱
2 瑞三炭鉱からみる職場と生活の実態
3 炭鉱からみる台湾と東アジア
第1部 「煤鉱 Meikuang」の歴史と現場
第1章 台湾石炭産業と「李顔二家」 島西智輝
1 台湾の大鉱業家「李顔二家」
2 地理的条件からみた台湾の炭田
3 「基隆顔家」による台陽鉱業の経営
4 「瑞芳李家」による瑞三鉱業の経営
5 戦後台湾経済史での石炭産業の位置
第2章 瑞三炭鉱の生産と労働 清水 拓
1 生産組織の編成
2 坑内概況
3 採炭現場レイアウト
4 採炭現場の人員配置と作業内容
5 鉱工の一日
第3章 台湾光復以降の石炭産業史 張龍龍
1 政策の変遷と台湾石炭産業の発展過程
2 台湾石炭産業の収束過程
3 全面的撤退後の石炭産業遺産
第2部 瑞三での鉱工の仕事と暮らし
解 題 瑞三炭鉱での鉱工の仕事と暮らし 嶋﨑尚子
1 周朝南氏との出会いと生活史収集
2 周朝南氏の生活史による職場史の再編
第4章 炭鉱の子が鉱工になるまで 嶋﨑尚子
1 幼少期
2 炭鉱で働き始める
3 結婚、兵役後に監工になる
4 炭鉱での女性の仕事
第5章 台湾最大の瑞三炭鉱での領班の仕事 嶋﨑尚子
1 瑞三炭鉱で領班になる
2 炭鉱での資格と救護隊
3 工会〔組合〕の活動――瑞三鉱業公司産業工会
4 瑞三鉱業の待遇
5 瑞三鉱業の福利厚生
第6章 瑞三炭鉱の閉山とその後 嶋﨑尚子
1 三大災変(事故)とその後
2 瑞三炭鉱の閉山
3 猴硐*鉱工文史館の設立と年金獲得に向けた活動
第7章 女性鉱工の生活史 嶋﨑尚子
1 周方糖氏(周朝南氏のいとこの妻)
2 林首氏
第8章 猴硐*での元鉱工たちの年金獲得運動と炭鉱の記憶継承 笠原良太
1 鉱工の離散・帰郷と年金獲得運動
2 猴硐*鉱工文史館設立運動の展開
3 コロナ禍の年金獲得運動と文史館の活動
4 文史館の再出発
終 章 台湾石炭産業の職場史に学ぶ 嶋﨑尚子
1 家族ぐるみの労働・移住・出稼ぎ労働と「一班一家」
2 炭鉱での女性労働
3 事故・災害と補償
4 労働者と会社の関係――自助と誇り
あとがき 嶋﨑尚子
索引
*猴硐の「硐」は石篇+同
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