姜 竣(著)
A5判 248ページ 並製
定価 2400円+税
ISBN978-4-7872-3539-8 C0036
在庫あり
書店発売日 2024年07月30日 登録日 2024年06月21日
京都精華大学マンガ学部で人気の授業から生まれた、言葉と表現の仕組みを読み解くユニークなメディア論講義の書籍化。
「時代や場所によって、人々の感性や知覚は変わる」「メディアの変化や歴史が、いまの私たちのモノの考え方に大きく影響している」――この見方を身につけるために、本書では近世から近代へ、近代から現代へと変容するメディアが私たちに及ぼした影響を、絵と声と文字という「言葉の三角形」の視点から解き明かします。
第1部の理論篇では、言葉という大きなテーマを扱うための視角と方法を提示します。続く第2部の歴史篇では、江戸時代の浮絵や眼鏡絵、明治の小説や錦絵新聞などの具体例を多く示しながら、風景画と文学、言葉と国民国家形成との関係性を解説します。第3部の実践篇では、紙芝居やマンガを事例にして、絵と声と文字の関わりから現代のメディア表現がよって立つ基盤についてレクチャーします。
マンガの描き方を学ぶために大学に入り、はじめて座学で表現とメディアの関係にふれる学生を対象にする人気講義をブラッシュアップ。私たちのモノの考え方とメディアの関係を見据え、メディアの変化が社会に及ぼす影響を追求する視点が学べる一冊です。
はじめに
第1部 理論篇
第1講 言葉の三角形――絵と声と文字の相関
1 見知らぬ木の実
2 言葉の三角形
3 記号の世界へのアプローチ――マンガのオノマトペ
第2講 言語思想の二大潮流――ソクラテスからソシュールまで
1 言葉に憑かれた人たち
2 真の名と「ソクラテス問題」
3 「アリストテレス問題」とソシュール
4 幽閉された子どものテーマ
第3講 幽霊が書いた文学
1 カスパー・ハウザーの謎
2 飲酒とドラッグの文学
3 オカルトからシュルレアリスムまで
4 幽霊が書いた文学
5 疑似科学の意義
第4講 メディア表現の考古学(ルビ:アルケオロジー)
1 知の地殻変動
2 思考の考古学(ルビ:アルケオロジー)
3 読み書き能力の考古学(ルビ:アルケオロジー)
4 文字に取り憑かれた人たち
第2部 歴史篇
第5講 風景描写の歴史と近代文体の起源
1 言葉の三角形の歴史的変容
2 俳句の風景
3 浮絵と近代的風景の萌芽
4 眼鏡絵と風景の革新
5 写生画と写生文
第6講 言文一致と近代文体の成立
1 言葉の三角形の近代的変容
2 錦絵新聞と毒婦の事件
3 過熱化と規制
4 傍聴筆記速記術の誕生
第7講 俗語革命と国民国家
1 俗語革命
2 想像された共同体
3 パトリーとネーション
4 郷土と国家の矛盾
5 郷土の解体と〈郷土〉の探求
第8講 近代文体に抗う語り――柳田国男の『遠野物語』
1 決別と始まりの過渡で
2 アナザーストーリー
3 神隠しの語り口(ルビ:ナラティブ)
4 伝説と昔話、神話と「物語」
第3部 実践篇
第9講 単一言語と方言の壁の乗り越え方――宮沢賢治とイーハトーブ
1 〈郷土〉の理想と限界――「常民」とは誰か
2 方言の壁
3 訛りを書く「あいぜん文字」
4 エスペラントとイーハトーブ
5 オノマトペは四度仕事をする
第10講 二度目の言文一致とマンガの言葉
1 メディアと言葉の現代化
2 ハムサンドイッチ――近世/近代/現代のメディア編制
3 言葉の戯れと言文一致の運命
4 〈マンガ〉的な文学――吉本ばなな
第11講 私のマンガ研究――〈絵〉の〈声〉の聞き方
1 マンガになる/ならない
2 墓場奇太郎の誕生と成長
3 紙芝居というテクスト
4 〈絵〉の〈声〉を聞く
5 「コケカキイキイ」の行方
第12講 〈描く〉こと(ルビ:ドローイング)と〈書く〉こと(ルビ:ライティング)――続・私のマンガ研究
1 言葉の流れ
2 描線の軌跡と文字の筆跡と声の痕跡
3 近代的思考の乗り越え
4 ラインの比較人類学
5 マンガのなかの言葉の流れ――「マンガシンキング」
6 メディア史の縮図と言葉の三角形の未来――結びにかえて
おわりに
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