社会一般
佐幸 信介(著)
四六判 248ページ 並製 定価 2000円+税 ISBN978-4-7872-3498-8 C0036 在庫あり
書店発売日 2021年09月28日 登録日 2021年08月11日
1990年代以降の経済的な危機のなか、都市空間や住居空間はどのように変容してきたのか。ルフェーブルやフーコーの議論を補助線にしながら、1990年代から現在までの空間のありようをたどり、流動性や利便性を求める空間の「不自由さ」を批判的に検証する。
1990年代以降、バブル経済の崩壊とリーマンショックに象徴される経済的な危機や社会的な停滞のなか、都市空間や住居空間はどのように変容して、私たちはそのなかでどのような経験をしてきたのか。また、それを支えるテクノロジーは、私たちの身体にどのような影響を与えているのか。 開発と金融資本の結び付きや東京の再開発をたどることで「空間の動産化」を浮き彫りにして、集住空間のセキュリティやスマートシティの事例から住空間と統治のテクノロジーの関係を分析する。加えて、郊外の現在のありようやコロナ禍でのステイホームから、住まう空間が私たちに何を経験させているのかを明らかにする。 アンリ・ルフェーブルやミシェル・フーコーの議論を補助線にしながら、1990年代から現在までの空間の変容を具体的な事例からひもとき、流動性や利便性を求める空間の「不自由さ」を批判的に検証する。
序 章 「空間の不自由」を問うということ 第1章 新自由主義と空間の暴力――金融資本と空間の接合 1 サブプライムローン問題と住宅という財 2 都市空間の変貌 3 空間開発と金融資本 4 公共空間の市場化と社会的所有の放棄 第2章 都市空間の変容のなかのオリンピック――再開発のなかの建築と空間 1 書き換えられる都市空間 2 フローの空間としての東京――首都高と経済空間への書き換え 3 フローの空間としての都市――新自由主義化する空間 4 二〇二〇年オリンピックの空間 第3章 囲われる空間のパラドックス 1 生活を囲い込むこと 2 集住空間のセキュリティ 3 測定される安全/危険 4 象徴暴力とコミュニティ 5 逆説的な安全な空間 第4章 スマートシティと生政治――パブリック―プライベートの産業から住むことの統治に向けて 1 スマートシティと空間――テクノロジーは何を対象にするのか 2 産業としてのスマートシティ 3 生政治としてのスマートシティ 第5章 郊外空間の反転した世界――『空中庭園』と住空間の経験 1 表象としての住宅 2 郊外と「住まわせる論理」 3 郊外または反転した世界 4 性愛の空間としての郊外 終 章 新型コロナ禍と「ホーム」という場所――カフカ「巣穴」を読む 1 コロナ禍と権力の問題 2 カフカ「巣穴」とホーム あとがき
在庫あり