社会一般
馬場 俊明(著)
四六判 240ページ 並製 定価 2600円+税 ISBN978-4-7872-0085-3 C0000 在庫あり
書店発売日 2023年11月28日 登録日 2023年10月05日
「図書館の自由に関する宣言」が1954年に採択されたあとに起きた3つの侵害事件――県立山口図書館蔵書隠匿事件(1973年)と富山県立図書館『図録』事件(1986年)、船橋市西図書館蔵書破棄事件(2001年)をあらためて検証する。 この3館の「図書館の自由」侵害事件は、国家や警察権力などの公権力の介入によるものではなく、図書館と図書館員自らが犯した侵害事件である。それだけに、図書館界は大きく揺れ、論議を尽くしながらも、対処の仕方にはいまもって疑問符が残っている。 ひとたび問題に直面すると、「自由宣言」の理念と組織構造との間には対立が生じ、どのように対応すればいいのかの合意形成が困難になる。 これからも「図書館の自由」を堅守するために3つの事件の実情に迫り、問題点の概要と教訓を導き出す渾身の論集。
はじめに 第1章 蔵書選択における自主規制──県立山口図書館蔵書隠匿事件を考える 1 戦後民主主義の転換期──一九六八―七三年 2 県立山口図書館蔵書隠匿事件とは 3 「隠された蔵書」と内部告発者 4 県立山口図書館の光と影──小松原訓令 5 「中立性」と「公序良俗」 6 「不当でない検閲」と「自主規制という名の検閲」 7 問われる県立山口図書館と日本図書館協会の対応 第2章 自主規制という名の検閲──富山県立図書館『図録』事件を通して 1 富山県立図書館『図録』事件とは何か 2 検閲と図書館の闘い 3 「自主規制という名の検閲」の原型 第3章 思想の寛容がなければ図書館の自由は守れない──船橋市西図書館蔵書廃棄事件 1 船橋市立図書館事件の概要と事実経過 2 図書館界の危機感 3 船橋市立図書館事件と図書館裁判 4 図書館裁判と公立図書館の思想性 [資料1] 「図書館の自由に関する宣言」 [資料2] アメリカ図書館協会「図書館の権利宣言」 [資料3] 船橋市西図書館除籍図書リスト [資料4] 最高裁判所判決文 あとがき
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