佐藤 清彦(著)
四六判 256ページ 上製 定価 2000円+税 ISBN978-4-7872-3157-4 C0036 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 1998年11月 書店発売日 1998年11月30日 登録日 2010年02月18日
近松の時代から人はなぜ心中に惹かれるのか? 至純の愛の果てに、愛を試すために、迷信に翻弄されて、虚無に包まれて……太宰治、有島武郎から坂田山心中、天城山心中まで、死を賭した凄絶な愛情劇の足跡を丹念に追跡・検証する。
第一章 小説なればこその『失楽園』 1 「小さな死」ばかりを愉しむ 2 三十代、教授夫人は危ういか 3 ちらと見える交合心中の影 第二章 「天国に結ぶ恋」の世界 1 “清い恋”に異論もある坂田山心中 2 至純の愛を語る天城山心中の遺簡 3 異地時差が哀しい精進湖心中 第三章 “伝説”の色あせる舞台裏 1 近松も「恋では死なぬ」の本音 2 明治の新型は兵士と娼妓組 第四章 大正自由主義の“先駆者”たち 1 “女として”伯爵家若夫人の一石 2 愛は買わない有島武郎の複雑な愛 3 生活苦と愛と死へのあこがれと 第五章 空前──昭和戦前は情死ラッシュ 1 死を軽んずる“時代病”蔓延 2 有名人子弟は情死をめざす 3 なぜに目立つか慶応ボーイ 4 モダニズム芸術家たちの閃光 5 夢破れた左翼青年の結着 6 名誉では癒えぬ傷痍軍人の傷 第六章 戦後の混乱と繁栄を映して 1 虚構の愛に溺れた太宰治の死 2 五重塔を道連れにした無謀ペア 3 裁判官をも巻き込む新しい波 第七章 さまざまなるパラドックス 1 憎むから死に、愛するから止める 2 嘘から出たまこともある 3 死ぬふりをして愛のテスト 4 袖振り合うも情死の縁 第八章 情死はときにミステリアス 1 得恋者なのになぜ死にたがる 2 意外なペアの平凡な真実 3 愛を偽装した“殺人者”たち 第九章 人生最後のバラエティー 1 キス心中、ほんとにできるか 2 二人旅、正装と異装の理由 3 迷信が一九〇六年生まれを直撃 4 小説よりも奇な十三話 第十章 にっぽん大情死時代の終幕 1 最古の情死衣通姫の「なぜ」 2 「口紅の碑」のロマンの陰に 3 タブーなき社会の共同自殺 参考にした主な本 あとがき
青弓社
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