村上 孝止(著)
四六判 320ページ 上製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3205-2 C0036
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2002年09月 書店発売日 2002年09月20日 登録日 2010年02月18日
コンビニや街頭の監視ビデオ、事件の容疑者や事故の被害者の顔写真、デモ・集会での警察の記録撮影──監視カメラに包囲された現代社会でプライバシーとともに侵される肖像権を民事・刑事の膨大な裁判記録で整理し、撮影も公表も本人の承諾が必要だと訴える。
はじめに──撮影・公表についての各国ルールの概観 1 早々と判例を作った国=フランス 2 肖像の保護には消極的な国=イギリス 3 プライバシー権で処理する国=アメリカ 4 法律を作って対処した国=ドイツ 5 日本は一世紀遅れでフランスを後追い第1部 刑事法廷で生まれたルール第1章 警察官による撮影から始まった 1 撮影を違法とした最初の判決 2 練り上げられていった写真への視点 3 最高裁が「みだりに撮影されない自由」を承認第2章 無断で撮影できる場合がある 1 警察官が無断撮影できる条件を模索 2 警察官による無断撮影の条件が確定 3 一般私人への拡張も十年で完了第3章 撮影の目的と撮影の必要性・緊急性 1 労務対策のための撮影 2 訴訟準備のための撮影 3 特殊な目的での撮影 4 アマチュア写真家の事件現場の撮影 5 報道目的での撮影第4章 相当の方法での撮影が要求される 1 法令に違反しての撮影 2 拒否を無視しての強引な撮影 3 至近距離からの撮影、フラッシュ撮影 4 身をひそめての撮影第5章 撮影行為が刑事事件になるとき 1 警察・検察による証拠写真の押収 2 肖像の公表が名誉毀損罪になる場合 3 自救行為はどこまで認められるか 4 刑事事件判決が新聞界に大きく影響 5 刑事事件が写真週刊誌全体に影響 6 関係各界は判決にきわめて敏感 7 刑事裁判では明らかにされなかった点 8 刑事法廷で生まれたルールの概要第2部 民事法廷で生まれたルール第1章 肖像は無断撮影・公表から守られる 1 撮影・公表とも承諾を得るのが原則 2 確認された「承諾が必要」の原則 3 私有地での撮影も承諾が必要 4 私有財産の無断撮影・公表も権利侵害 5 写真が名誉を傷つける場合がある 6 撮影がプライバシーを侵害する場合も 7 写し取る手段は写真だけではない 8 保護されるのは肖像だけではない 9 肖像の営業的利用には承諾が不可欠第2章 撮影・公表の承諾に必要とされる条件 1 撮影・公表への承諾のあり方が明らかに 2 撮影・公表への承諾は被撮影者を拘束する 3 明らかな拒絶がなければ承諾とみなされる 4 撮影への承諾が公表も承諾したとはかぎらない 5 契約内容を超えれば承諾のない公表 6 撮影時の承諾は第三者にも有効 7 ヌード・水着写真の公表は改めて承諾が必要 第3章 無断で撮影・公表できる場合がある 1 刑事事件とは異なる無断撮影の判断基準 2 無断撮影・公表の基準に刑法二三〇条の二 3 刑法基準を補完する比較衡量基準 4 公益目的の出版物では肖像の無断利用が可能 5 公共性・公益目的を欠く場合は承諾が不可欠第4章 撮影・公表は相当の方法でされることが必要 1 相当性があるとされた撮影・公表方法 (1)必要限度の配慮がされている (2)記事内容との関係で写真掲載は相当 (3)掲載目的に照らし公道での撮影は相当 (4)手錠姿ではなく、撮影方法、公表内容も相当 (5)受忍の範囲内で、取り扱いに不当性はない (6)扱いが大きくない (7)編集の自由の範囲内であることを示唆 (8)適切ではないが、違法ともいえない 2 相当性を欠くとされた撮影・公表方法 (1)法令に反しての撮影・掲載 (2)病院内の車椅子姿の撮影・公表 (3)手錠・腰縄姿をさらしものに (4)名誉毀損の記事に付された写真 (5)水着姿・ヌードの無断掲載は肖像権侵害 (6)正当な表現行為の範囲を逸脱 (7)私生活領域・服装を隠し撮りして公表第5章 写真の撮影・公表と民事事件 1 民事でも目立つ警察関連の事件 2 敗訴はしたが警察の提供写真を改変 3 まだまだ重視されていない写真 4 公共性の認められる人物の肖像 5 法廷の撮影要求が訴訟対象に 6 判決への出版業界の反応は例外的 7 テレビも無風地帯ではなくなった 8 民事法廷で生まれたルールのあらまし第3部 法廷の外で生まれたルール 1 「お貸し下げ写真」から代表取材へ 2 公人のプライバシーにかかわる写真 3 犯罪少年の写真は掲載しないルール 4 残虐写真は掲載しないルール 5 解禁になったヘアヌード写真 6 人命が危機にある場面の撮影 7 犯罪・事故などの被害者の写真 8 刑事法廷の代表撮影 9 人物写真をめぐるそのほかのルール (1)精神障害者の写真 (2)反政府活動家などの映像 (3)恥ずかしい思いをする写真 (4)変わってきた群衆場面の扱い (5)目的外には使わないルール (6)裸の写真は掲載しないルールあとがき写真・肖像権関係判決一覧
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