髙畑早希(著)
四六判 308ページ 並製
定価 3600円+税
ISBN978-4-7872-9287-2 C0095
在庫あり
書店発売日 2026年09月28日 登録日 2026年08月05日
いろりを囲みながら、おばあさんが語って聞かせる不思議な話――民話というと、そんなイメージを思い起こすかもしれない。戦後日本で、民話をめぐる運動は、誰がどのように担ってきたのか。
本書では、1950年代から90年代の民話をめぐる運動や実践のうねりを描き出す。左翼思想との関係性が強かった民話運動が、母親や教員、会社員が担い手になることで子ども文化や児童文学に接近し、戦後日本の文化運動として展開していったことを明らかにする。
昔話や人々の語りを集めるだけでなく、社会や政治の問題を「現代の民話」として取り上げ、戦争や地域の記憶と向き合い、専業主婦や女性、移民などの個々が抱える政治性を民話の射程に含めていく――。
民話を今日的な文化運動として位置づけ、ジェンダーやケアなどの視角から読み解き、「民話をする人々」と戦後社会の交差を照らし出す。
はじめに
序 章 民話をする人々の戦後文化史
1 民話運動とは
2 先行研究の整理
3 先行研究の課題と本書の意義
第1部 第一次民話運動から第二次民話運動への展開
第1章 一九五〇年代後半の民話運動――雑誌「民話」をめぐって
1 民話の会の発足と雑誌「民話」の発刊まで
2 雑誌「民話」が示した「民話」
第2章 もう一つの水脈――山代巴『民話を生む人々』
1 民話の会と山代巴
2 山代巴にとっての戦後の始まり
3 山あいの谷でぶつかった問題
4 民話との出合い
5 呼び水としての「民話」
第3章 一九七〇年代から八〇年代の東京の民話運動――雑誌「民話の手帖」の再話論と「村ばなし」を中心に
1 第一次民話運動の課題
2 日本民話の会前史と「民話の手帖」の概略
3 採訪から再話へ、聴く耳と語る力の「回復」
4 「民話の手帖」にみられる「民話」の射程
第4章 民話絵本がもたらす波紋――一九七〇年代の山形と東京の民話運動をめぐって
1 「こどものとも」と昔話/民話運動と昔話
2 「民話公害説」の登場
3 なぜ、土田さんの語りは変化したか
4 「民話公害説」の山形での受け止められ方
第2部 民話運動での「母」の表象と、彼女たちの「民話」
第5章 「子育て幽霊」をケアするのは誰か――語りの手引書が描く運動主体としての「母」
1 東京都小平市の母親たちの活動
2 語りの手引書というメディア
3 お話・語りの手引書での「母」の位置づけ
4 民話の語りに求められる個人の主体性
5 「子育て幽霊」をケアするのは誰か
第6章 戦争記憶を民話として継承するということ――松谷みよ子の「現代民話」
1 「現代民話考」にいたるまで
2 「現代民話考」と「あったること」――松谷みよ子の仕事①民話の収集
3 「現代の民話・戦争ってなあに」――松谷みよ子の仕事②再話
4 『まちんと』をグリーフケアの場と見なすことへの疑義
5 「直樹とゆう子の物語」――松谷みよ子の仕事③「民話」実践をふまえた創作
第7章 「民話」を呼び水にした連帯に向けて――ケア・交差性の観点から東北地域の実践を読む
1 小野和子の来歴と採訪で感じた違和感
2 依存労働とあっぺとっぺな語り
3 時差、「遅れてやって来た聞き手」による介入
4 「農村の花嫁問題」と民話絵本の接触
5 フィリピンの民話絵本作りと母たちの連帯
おわりに
主要参考文献一覧
初出一覧
あとがき
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