青弓社ライブラリー 88
社会一般
新井 克弥(著)
四六判 208ページ 並製 定価 1600円+税 ISBN978-4-7872-3405-6 C0336 在庫あり
奥付の初版発行年月 2016年07月 書店発売日 2016年07月25日 登録日 2016年05月10日
テーマパークを乱立させてディズニー化する現代日本社会と、それに反して脱ディズニー化する東京ディズニーランド――創始者の思想が希薄化し、ジャパン・オリジナルへと変貌している――を現代社会論・メディア論の視点から解析する刺激的な成果。
いま、東京ディズニーリゾート(TDR)はどんどん「脱ディズニー化」している――「徹底的に統一したテーマ」「家族みんなで夢を見る」というウォルト・ディズニーの理想を体現していた時代は過ぎ去って、「テーマなき萌え要素のごった煮」のなかを「お一人様がそれぞれの目的のために突っ走る」空間になっているのだ。 これは、実は歌舞伎からAKB48まで脈々と続く、「全体像よりもピンポイントの趣向」を重視する日本の文化、そして社会の傾向とつながっている。 顧客(ゲスト)のニーズに最先端で応えて変わり続けるTDRは、まさに現代社会の縮図。TDRの変容の過程を分析することで、日本社会の「いま」と「あした」を描き出す画期的なメディア社会論。
はじめに 第1章 様相を変貌させる東京ディズニーリゾート 1 「ディズニー学」の基礎知識 2 パーク内はコスプレ会場と化した? 3 ファミリー・エンターテインメントからの逸脱 4 TDR=送り手側も異様? 5 ウォルトの存在が薄れるほどゲストの数は増える? 第2章 ディズニーランドと日本人――ディズニーというゆりかごのなかで 1 ディズニーと日本人の関係史 2 日本アニメの苗床になったディズニー 3 プロレスとディズニーが高度経済成長とテレビ普及に貢献 4 ディズニーになじんでいた戦後世代 5 日本人へのディズニー再教育 第3章 テーマパークの本質:1――情報圧によるめまい 1 テーマパークとは何か 2 テーマ性の入れ子構造 3 TDSでのテーマの重層構造 第4章 テーマパークの本質:2――ハイパーリアリティー 1 ハイパーリアリティーとは何か 2 テーマランドはコピーのコピー 3 ジャパン・オリジナル、ダッフィーの誕生 4 ダッフィー的システムの方法論化 第5章 テーマ性の崩壊 1 崩壊を象徴するパレード 2 マクロと中規模(=ミドル)のテーマ性 3 ミクロなテーマ性 4 テーマ性崩壊をさらに進める「ハピネス・イズ・ヒア」 5 テーマなきテーマパークの出現 第6章 ジャパン・オリジナル化するTDR 1 グレムリン化するゲスト、ドン・キホーテ化するTDL 2 消費文化の伝統文化への昇華をもくろんだウォルト 3 アキバ化するTDL 第7章 ディズニー化する社会、脱ディズニー化するTDR、そして…… 1 ファストフードとファミレスを経験した一九七〇年代 2 ディズニー化とは何か 3 社会がディズニー化していく 4 脱ディズニー化する未来 第8章 TDRは聖地になりうるか? 1 評価が分かれる『アナ雪』 2 微分的文化と文化相対主義 3 二つの聖地 付録 ディズニーを学ぶ人のために 1 ウォルトを知る 2 ウォルト没後のディズニーの状況を知る 3 東京ディズニーリゾートを知る 4 専門的な視点からディズニーを考える 参考文献 おわりに
在庫あり