第51回 とりあえず、ひと区切りか

 2008年3月に発売された拙著『クラシック名曲初演&初録音事典』(大和書房、A5判、368ページ)が品切れとなった。前書きにもあるように、この本は約12年かけて完成させたものだった。校正も、下書きの原稿がかかった時間に準じて、予想をはるかに上回る手間がかかった。著者、担当編集者(非常に優秀)は無論のこと、外部の編集プロダクションにも校正を依頼し、そこでは4人でページを分担して修正が加えられた。言うならば、6人がかりで練り込んだものである。校正が完了するまでの2カ月半、私自身は1日たりとも休日はなかったが、でもおかげで精度は非常に高いと思う。この本は日頃自分でもよく使うが、つらつらながめてみても、よくぞこんな化け物みたいな内容を書いたものだと、自分でも驚いている。
 いま、頭のなかにぼんやり描いているのは、この本の増補改訂版である。幸いにして重要な間違いはなさそうだが、扱えなかった作品、入稿までにSPやLPが手に入らなかったものなど、心残りはいくつかある。それに、つい最近知人から助言を得たこともあった。ただ、具体的にそんな話があるわけではなく、目下のところは自分で勝手に希望しているだけだが。
 あと、内輪の話をしておくと、この本はまず重版はしないと見ていいだろう。まず、この本の企画を推進してくれた責任者、および実際に校正を担当した編集者ともに、すでに大和書房を離れていること。さらに、マニアックな内容であり、3,000円(税抜き)の価格も考慮すると、重版の可能性は限りなくゼロに近い。
 ということで、気にしていながらまだ買ってない人には、流通在庫があるうちにどうぞ、と言っておきたい。中古の値段が上昇した頃になって、「なんとかならないか」というような連絡をくださるのだけは勘弁してもらいたい。いずれにせよ、自分ではとりあえず、ひと区切りついたなと思った。

(2014年4月4日執筆)

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