ジェンダー・ポリティクスの世紀「少女小説」の生成

「少女小説」の生成 ジェンダー・ポリティクスの世紀

久米 依子 著
四六判 360ページ 上製
定価:3000円+税
ISBN978-4-7872-9215-5 C0095
奥付の初版発行年月:2013年06月/書店発売日:2013年06月12日

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欧米には見られない独特なジャンルである「少女小説」。明治末期から現在までの少女小説の物語構造を作品やジュニア小説・コバルト文庫、マンガ、ラノベを素材に読み解いて、時代ごとに変わる〈少女像〉や少年/少女の分割線の変容をあぶり出す。

著者プロフィール

久米 依子(クメ ヨリコ)

東京都生まれ。日本女子大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期単位取得退学。現在、目白大学教員。専攻は日本近代文学、日本児童文学。共編著に『ライトノベル研究序説』(青弓社)、『文化のなかのテクスト』(双文社出版)、共著に『天空のミステリー』『闇のファンタジー』『少女少年のポリティクス』(いずれも青弓社)、『虚構の愉しみ』(岩波書店)など。

目次

はじめに

序章 少女の世界――二十世紀「少女小説」の行方
 1 〈少女〉という境界
 2 「少女小説」の誕生と展開

第1部 〈少女〉の成立/「少女小説」の誕生

第1章 無垢な「天使」の物語――西欧近代の少女たち

第2章 メディアにおける〈少女〉の成立――雑誌「少年園」をめぐって
 1 少年雑誌と少女読者
 2 「少年園」の基本姿勢
 3 女子読者と誌面
 4 女子に関する論説
 5 「女子之忠」の規定
 6 少年との分離

第3章 「少年世界」における若松賤子の創作――少女小説の開始
 1 「少年世界」の「少女」欄の開設
 2 「少年世界」以前の若松賤子の活動――「幼子」の称揚
 3 少女に語る物語――婦徳と裁縫
 4 少女の位相と物語の方法
 5 〈教訓〉から逃れる表現

第4章 「少女小説」の成立――差異と規範の言説装置
 1 「家の娘」の位置
 2 閉ざされる少女小説
 3 「われわれ」のなかの少女
 4 良妻賢母の新たな任務

第5章 芥川龍之介「雛」の少女――所有・父権・伝統
 1 「雛」の語りと物語内容
 2 家父長制のなかの「雛」
 3 「雛」の文化と家の繁栄
 4 父権と伝統――後景化される少女

第2部 少女セクシュアリティの表象/「少女小説」の展開

第6章 構成される少女Ⅰ――少女雑誌の創刊と少女セクシュアリティの発見
 1 少女雑誌の冒険
 2 家父長制下の家庭悲劇と女性の分断
 3 〈愛される〉少女の時代

第7章 構成される少女Ⅱ――少女小説ジャンルの形成と友愛物語
 1 少女友愛小説の発生
 2 強制的異性愛制度の補強とジャンルの成立

第8章 馴致されるセクシュアリティ――モダニズム期前後の少女雑誌
 1 「文学者」を出さない「幸福」
 2 モダニズムの刺激
 3 一九三〇年代の少女雑誌とセクシュアリティ
 4 「寵児」の行方

第9章 昭和期の少女像の展開
 1 男性作家の〈少女幻想〉――救いとはかなさ
 2 〈少女幻想〉から逃れること――尾崎翠の可能性

第10章 セクシズムのなかの吉屋信子
 1 下位項目の作家として
 2 少女小説というモード
 3 「第二恋愛」としてのレズビアン・セクシュアリティ
 4 〈家族の神話〉と女性同士の絆

第11章 少女小説から従軍記へ――総力戦下の吉屋信子の報告文
 1 総力戦と少国民少女
 2 少女小説の戦略
 3 総力戦と女性従軍作家の登場
 4 「女性幼児虐殺」の現場
 5 仮構される連帯
 6 「共存共栄」の不可能性
 7 林芙美子と非戦闘員

第3部 少女文化の変容/水脈としての「少女小説」

第12章 昭和戦前期から戦後へ――少女文化の変容
 1 長篇少女小説と行動する少女――エンターテインメントの時代に
 2 男女共学時代の変容――ジュニア小説から少女小説の再生まで

第13章 少女小説から少女マンガへ――ジャンルを超える表現
 1 少女文化からの発展
 2 少女マンガの〈文学〉性
 3 少女マンガからの越境

第14章 ライトノベルとジェンダー――少年少女の出会いとその陥穽
 1 ライトノベルという名称
 2 ジェンダーと性別化されたレーベル
 3 少年と少女の役割
 4 ジェンダーを考えるために――『キノの旅』『制覇するフィロソフィア』の試み

第15章 戦う〈少女〉の任務と少女コミュニティー
 1 戦う少女の国
 2 欲望のための表象
 3 回避と依存
 4 女装少年と少女コミュニティーの問題

初出一覧

おわりに

索引