ライトノベル研究序説

ライトノベル研究序説

一柳 廣孝 編著, 久米 依子 編著
A5判 312ページ 並製
定価:2000円+税
ISBN978-4-7872-9188-2 C0095
奥付の初版発行年月:2009年04月/書店発売日:2009年04月23日

在庫あり
アキバの空、アリアケの夏──。アニメ的なイラストが特徴のエンターテインメント小説、ライトノベル。歴史や周辺事項を解説しながら読み解くための多様な視点を示し、具体的な作品読解も交えてライトノベルにアプローチする方法をレクチャーする入門書。

著者プロフィール

一柳 廣孝(イチヤナギ ヒロタカ)

和歌山県生まれ。横浜国立大学教員。専攻は日本近代文学、日本近代文化史。著書に『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉』(講談社)、『催眠術の日本近代』、編著に『オカルトの帝国』『「学校の怪談」はささやく』『心霊写真は語る』(いずれも青弓社)など。何オタクですか?:妖怪・心霊関連グッズオタク。髪が伸びる人形がいとおしい。

久米 依子(クメ ヨリコ)

東京都生まれ。目白大学教員。専攻は日本近代文学、日本児童文学。共編著に『文化のなかのテクスト』(双文社出版)、共著に『女は変身する』『少女少年のポリティクス』(ともに青弓社)など。何オタクですか?:海洋堂のアリスは集めてました。ドードーが出てこなくて大変だった。

目次

はじめに 一柳廣孝

第1部 文化

[メディアミックス]
ラノベキャラは多重作品世界の夢を見るか? 川崎拓人/飯倉義之
 1 多重並行世界化する「メディアミックス」
 2 角川映画から『ロードス島戦記』までのマルチメディア展開
 3 あかほりさとると『スレイヤーズ』のメディアミックス
 4 『灼眼のシャナ』と『涼宮ハルヒの憂鬱』、メディアミックスのためのコンテンツ

[オタク文化]
受容と供給の欲望――何を求め、何を生む 山中智省
 1 ライトノベルとオタク文化の相関性
 2 「オタク」のライトノベル受容
 3 「ラノベ読むとオタクですか?」

[マンガ]
表現のパイオニア――ライトノベルが切り開く地平 佐藤ちひろ
 1 「マンガが読める」とはどういうことか
 2 ライトノベルのイラストとマンガ
 3 ライトノベルの文章表現とマンガ
 4 総合表現としてのライトノベル

[レーベル]
とある文庫の刊行目録(ルビ:インデックス)――角川系レーベル群から見えるもの 髙島健一郎
 1 調査対象と方法の概略
 2 電撃の躍進――刊行点数の推移から
 3 多様化への戦略―作家数の推移から
 4 独自性への志向――作家の囲い込み
 5 ライトノベルの課題――短命の書籍

キャラクター 山川知玄

萌え 山川知玄

イラスト 矢崎洋平


第2部 歴史

[TPRG]
ライトノベルの一源流――執筆されるテーブルトーク 中村 亮
 1 TRPGとは? リプレイとは?
 2 ライトノベルとの蜜月期
 3 TRTRPG業界の縮小と現在

[児童文学]
ライトノベルと児童文学の「あいだ」――「主体性」の問題をめぐって 井上乃武
 1 ライトノベルと児童文学の「違い」――エンターテイメント性と社会性
 2 一九七〇年代日本児童文学に見られる「ライトノベル性」
 3 戦後日本児童文学の「分岐点」――「主体性」と「現実」の融合
 4 「主体」の相対化――ライトノベル児童文学の現在と可能性

[SF]
ジャンル小説からのまなざし――戦後日本SFを例に 石崎純一
 1 ライトノベルの多元性
 2 戦後日本SFの形成から浸透と拡散へ
 3 SFからライトノベルへ

セカイ系と日常系 山口直彦

美少女ゲーム 山中智省


第3部 視点

[ジェンダー]
少年少女の出会いとその陥穽――性制度の攪乱に向けて 久米依子
 1 読者設定とジェンダー――性別化されたレーベルと越境性
 2 物語内のジェンダー――少年と少女の関係
 3 ジェンダーを考えるために――『キノの旅』『制覇するフィロソフィア』の試み

[社会学]
「現実(ルビ:リアル)」に憑かれた言説――ライトノベル批評の現在 塚田修一
 1 大塚英志――自然主義的リアリズムとまんが・アニメ的リアリズム
 2 東浩紀――まんが・アニメ的リアリズムからゲーム的リアリズムへ
 3 「現実(ルビ:リアル)」に憑かれた言説

[読者]
〈読者〉としての〈ヤングアダルト〉――ライトノベルを〈教材〉にする 大橋崇行
 1 〈読者〉はどこにいるのか
 2 〈ヤングアダルト〉書籍としてのライトノベル
 3 高校生の読書実態
 4 ライトノベルと小説読解の〈制度〉
 5 ライトノベルを〈教材〉にする

あとがき 樋渡隆浩

文学への越境 大澤 聡

情報工学とライトノベル 山口直彦


第4部 読む

柴村仁『我が家のお稲荷さま。』――ご近所の異界 一柳廣孝
 1 『我が家のお稲荷さま。』
 2 境界と越境の物語
 3 天狐空幻と三槌(高上)美夜子の物語
 4 ご近所の異界

神坂一『スレイヤーズ』シリーズ――ストーリーからキャラクターへ 及川早紀
 1 リナの語り
 2 TRPGからの脱構築
 3 キャラクターとイラスト

木原音瀬『無罪世界』ほか――BL論の明日に向けて 山田健一朗
 1 『《やおい小説》論』の衝撃と影響
 2 欲望の一方通行――木原音瀬『無罪世界』を読む
 3 「男らしさ」とセクシュアリティ――よしながふみ作品から

野村美月『“文学少女”』シリーズ――『銀河鉄道の夜』から飛躍する文学少女 大島丈志
 1 文学少女、本を食べる
 2 『“文学少女”と慟哭の巡礼者』と宮沢賢治作品
 3 天野遠子、『銀河鉄道の夜』から飛躍する

おわりに 久米依子

資料・参考文献一覧 山中智省/一柳廣孝

ライトノベル年表 莊司慶行