オッフェンバックと日本近代オペレッタの幕開け

オペレッタの幕開け オッフェンバックと日本近代

森 佳子 著
四六判 256ページ 並製
定価:2800円+税
ISBN978-4-7872-7397-0 C0073
奥付の初版発行年月:2017年03月/書店発売日:2017年03月03日

在庫あり
オッフェンバックが創始したオペレッタは、どのようにして世界的な隆盛を極め、その後の凋落、そして再評価という道筋をたどったのか。作品を分析し、人物像にも迫りながら、彼の作品群が近代日本のオペラ受容と現代の音楽劇の発展に果たした功績を照らし出す。

版元から一言

運動会でおなじみの軽快な曲「フレンチ・カンカン」の作曲者をご存じだろうか。オッフェンバックが、その人だ!

世界中で愛されたオペレッタ『地獄のオルフェウス』のなかの1曲で、20世紀の大衆音楽の代表「フレンチ・カンカン」の軽快で狂騒的なイメージの陰に隠れたオッフェンバック。隆盛から凋落、再評価という道筋をたどったオペレッタの歴史をひもときながら、『美しきエレーヌ』『ジェロルステイン大公妃殿下』などのオペレッタ作品と唯一のオペラ『ホフマン物語』を丹念に分析して、彼の実像を明らかにする。

そのうえで日本でのオッフェンバック作品の受容史をたどり、明治期の帝国劇場で初めて日本語の口語詞を使った上演や、大正ロマンの象徴である「浅草オペラ」での上演などを振り返る。そして、オッフェンバックのオペレッタが果たした日本のオペラ受容への橋渡しとしての役割と、現在の日本のオペラやオペレッタ、レビューやミュージカルの発展に与えた大きな影響と功績を照らし出す。

著者プロフィール

森 佳子(モリ ヨシコ)

新潟県生まれ。国立音楽大学楽理学科卒業。パリ第四大学(ソルボンヌ)音楽学修士号、パリ・スコラ・カントルム和声対位法科ディプロム、博士(文学、早稲田大学)。現在、日本大学ほか非常勤講師、早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。著書に『笑うオペラ』『クラシックと日本人』(ともに青弓社)、『オッフェンバックと大衆芸術――パリジャンが愛した夢幻オペレッタ』(早稲田大学出版部)、訳書にエクトル・ベルリオーズ『音楽のグロテスク』(青弓社)など。

目次

はじめに

序章 高尚化と大衆化の狭間で
 1 オペレッタの歴史とオッフェンバック
 2 ジャンルとしての特徴

第1章 十九世紀ブルジョア文化のなかの劇場の変遷
 1 パリ・オペラ座
 2 オペラ・コミック座
 3 場末の「二流劇場」
 4 カフェ・コンセール

第2章 オッフェンバックのポートレート
 1 若き日のオッフェンバック
 2 ブーフ・パリジャンから黄金の時代へ
 3 普仏戦争以後
 4 オペレッタの初演で活躍した歌手たち
 5 最期の日々と『ホフマン物語』

第3章 オッフェンバックとは何者か
 1 普仏戦争後の批判から二十世紀初頭の再評価へ
 2 フレンチ・カンカンからオペレッタへ

第4章 オペレッタ作品について
 1 一幕ものオペレッタ
 2 全盛期の大規模作品
 3 普仏戦争後の作品

第5章 オペラ作曲家としての評価──『ホフマン物語』
 1 オペラ『ホフマン物語』の粗筋
 2 創作から初演まで
 3 戦前の再演
 4 復活の兆し
 5 演出家たちによる「新しい版」
 6 オリジナル版への回帰

第6章 日本人とオッフェンバックの出合い
 1 明治時代のオペレッタ受容
 2 オペラと日本人
 3 大正初期の日本人によるオペレッタ初演
 4 初期の浅草オペラとの関係
 5 一九二〇年以後の動きと『ホフマン物語』日本初演

第7章 花開く日本のオペレッタ
 1 昭和の「オペレッタ運動」
 2 昭和のオペレッタ上演とオッフェンバックの試み
 3 一九八九年は「戦後のオペレッタ元年」
 4 日本の『ホフマン物語』受容

参考文献

あとがき