ミツヨ・ワダ・マルシアーノ(編著)
A5判 340ページ 並製
定価 4600円+税
ISBN978-4-7872-7324-6 C0074
在庫あり
奥付の初版発行年月 2012年10月 書店発売日 2012年10月20日 登録日 2012年09月28日
社会状況が激変した敗戦・占領期から高度成長期に至る直前の1950年代――当時の日本映画に潜在する政治性とダイナミズムを、映画作品、それを支えた技術、産業、観客を読み解くことで明らかにする。絶え間なく生産される「戦後」イメージを問い直す論考集。
序 論 多様な日本の「戦後」、そしてその歪み ミツヨ・ワダ・マルシアーノ
1 歴史の断絶と連続
2 “大きな物語”に取って代わるもの
第1部 資本主義と会社主義――サラリーマンの時代
第1章 (再)定義される労働力――貫戦史でのサラリーマン映画ミツヨ・ワダ・マルシアーノ
1 映画史における力学
2 「恐妻家」、その戦後的アトラクション
3 温情主義、十九世紀末から継続する日本企業イデオロギー
4 結論
第2章 社長シリーズから「戦後」をみる――資本・人脈・身のならい 西村大志
1 資本
2 人脈
3 身のならい
第2部 社会問題と不安――社会的なるもの、個人的なるもの
第3章 同伴者のポチョムキン――山村聰『蟹工船』が描いたもの 鳥羽耕史
1 『蟹工船』と『戦艦ポチョムキン』
2 消去されるロシアと「赤化宣伝」
3 プロレタリア文学と反戦映画の円環
第4章 原水爆、家長、嫁――『生きものの記録』(一九五五年)における「私」の自壊 中村秀之
1 「原水爆」のコミュニケーション――意図とその成否に対する評価
2 問題としての家長――〈ポスト占領期三部作〉の変容
3 「おかあさんの民主主義」――コンテクストとしての女性の公共圏
4 物言う家族の物言わぬ嫁――自壊と共犯の政治的無意識
第5章 「大衆」としての映画観客 藤木秀朗
1 モダニズム、階級、消費を超えて――戦前・戦中の「大衆」
2 「新しい群集」と「民主」――戦後の「大衆」
3 矛盾の噴出――松下圭一と南博
第6章 妻の選択――戦後民主主義的中絶映画の系譜 木下千花
1 戦後とは何か
2 妊娠映画の戦後民主主義時代
3 戦後民主主義とプロレタリア妊娠映画――『女の一生』(一九四九年)
4 映画倫理規程管理委員会と夫婦の寝室
5 妊娠をめぐる公共圏としての映画
第3部 「時代」劇と時代精神
第7章 『忠臣蔵』映画はなぜ昭和三十年代に黄金期を迎えたのか 谷川建司
1 様々なメディアの融合としての『忠臣蔵』
2 占領政策としての“『忠臣蔵』もの”の禁止とその反動
3 映画というメディアそのものの変容と『忠臣蔵』のコンテンツの関係
4 戦後日本社会の鏡としての質的変化
第8章 『明治天皇と日露大戦争』(一九五七年)の「戦後」観客 ハン・ナミ
1 明治天皇と新東宝スコープ
2 『明治天皇と日露大戦争』の観客たち(audiences)
3 『明治天皇と日露大戦争』の観客(spectator)
第4部 アニメーション――その日本的なるものと世界的なるもの
第9章 戦前から戦後におけるアニメーションのスタイルの変遷――東映動画を中心に 桑原圭裕
1 前期の日本アニメーション
2 戦後日本アニメーションの象徴としての東映動画
3 日本アニメーションにおける戦前と戦後の非連続性
第10章 「アニメーション」の誕生――一九五〇年代日本における海外アニメーションの受容とその影響 土居伸彰
1 一九五〇年代の海外アニメーションの状況と日本での受容
2 「アニメーション」の誕生
第5部 技法をめぐって――音楽・演出・テクノロジー
第11章 『赤線地帯』の十二音技法――溝口健二と戦後日本の現代音楽 長門洋平
1 赤線地帯論争――黛敏郎vs.津村秀夫
2 サウンドトラックとしての現代音楽――『エデンの東』(一九五四年)、『必死の逃亡者』(一九五五年)、『赤線地帯』(一九五六年)
3 「客観主義的映画音楽」の実践
4 『赤線地帯』の二人の主人公
第12章 総天然色映画の超克――イーストマン・カラーから「大映カラー」への力学 冨田美香
1 「戦後復興」の目標値
2 技術立国と文化日本のシンボル
3 大映カラー誕生のプロセス
4 戦後復興と「大映カラー」
あとがき ミツヨ・ワダ・マルシアーノ
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