写真叢書
光田 由里(著)
四六判 304ページ 上製
定価 2800円+税
ISBN978-4-7872-7215-7 C0372
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2006年06月 書店発売日 2006年06月23日 登録日 2010年02月18日
福原信三、野島康三、中山岩太、安井仲治、中平卓馬……。1910年代から70年代までの激動期を生きた写真家の視線は、写真に時代の痕跡を追い求め芸術との界面を滑走する。それぞれの時代の社会状況を見定めながら、60点の写真から彼らの感性を探る写真史。
第1章 消えない影──中平卓馬から、「写真」の「芸術」に遡行する
1 見るためだけの写真
2 「芸術」のための「記録」
3 「写真」と「美術」の界面
4 「記録」という幻想
5 「言葉」なき「図鑑」
6 相克のあと
第2章 メランコリーというモダン
1 福原信三──「芸術」の意味
1 「絵画的」な写真の批判者
2 福原にとっての「絵画」
3 福原にとっての「芸術」
2 写真芸術社──大正期の都市散策者たち
1 写真芸術社の時代
2 設立経緯と活動の概観
3 写真芸術社の作品の特徴
4 福原信三
5 大田黒元雄
6 福原路草
7 掛札 功
8 石田喜一郎
第3章 存在論の写真
1 〈見る人〉としての野島康三──展覧会企画と出版活動の記録
2 野島康三の裸婦像をめぐって
1 野島康三の位置と「裸胸婦」
2 初期・裸婦像と「樹による女」
3 中間期──一九二〇~二九年
4 一九三〇~三一年の裸婦連作
5 野島とモダニズム
3 近代女性と写真──レディス・カメラ・クラブと野島康三
第4章 国際様式としての「芸術写真」
1 太平洋横断──日本とアメリカ:〈芸術写真〉の周辺で
2 太平洋縦断──石田喜一郎とシドニーカメラサークル
1 シドニー時代の石田喜一郎──一九一九~二三年
2 帰国──一九二四年
3 Modern Japan's Photography──近代の日本の写真
4 Japanese Modern's Photography──日本の近代写真
第5章 村山知義と芸術写真──写真の現実性
1 個展に出品された「写真」
2 村山の写真論──自然主義批判と福原信三
3 村山の写真論──表現派・抽象派と中山岩太
4 村山の写真論──構成派
5 村山の「芸術」・「写真」観
6 写真の現実性
第6章 屈曲ときらめき──中山岩太の作品と時代
1 ニューヨーク修業時代
2 パリ滞在と帰国──純芸術写真
3 芦屋カメラクラブと新興写真
4 「光画」の時代──構成写真と現実写真
5 沈潜──構成写真の孤塁
6 純化された影
7 中山の死とその後
第7章 安井仲治──リアルさの前衛
1 死の時から──一九四〇年(昭和十五年)~四二年(昭和十七年)
2 物思う少年──一九二二年(大正十一年)まで
3 作家的決心 浪華写真倶楽部入会から銀鈴社へ──一九二二年(大正十一年)~三〇年(昭和五年)
4 「メーデー」シリーズと独逸国際移動写真展──一九三一年(昭和六年)
5 新興写真体験──一九三一年(昭和六年)~三七年(昭和十二年)
6 「半静物」 魚介から「物体の秘密」へ──一九三二年(昭和七年)~三八年(昭和十三年)
7 不穏な予感 ブラッサイ的シュルレアリスム──一九三四年(昭和九年)三八年(昭和十三年)
8 戦時の人々──一九三九年(昭和十四年)~四一年(昭和十六年)
9 非常時の生命体 物質と人間の接面──一九三九年(昭和十四年)~四〇年(昭和十五年)
10 最後の三部作──一九四一年(昭和十六年)
第8章 写真のありか──細江英公 オリジナル・プリントとミニグラフ
あとがき
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