PTAという国家装置

PTAという国家装置

岩竹 美加子 著
四六判 232ページ 並製
定価:2000円+税
ISBN978-4-7872-3414-8 C0036
奥付の初版発行年月:2017年04月/書店発売日:2017年04月26日

在庫あり
敗戦後にGHQが指導した教育民主化の理念と、戦前の学校後援会や保護者会・父兄会・母の会など旧態の組織とがない交ぜになった性格をもつPTAを、歴史的な背景、国の教育行政やほかの地域組織との関連、共同体論や社会関係資本などとの関係から考察する。

版元から一言

社会教育組織としても地域組織としてもこの国最大の規模の巨大組織PTAは、どういう歴史をもち、何を目的にして、どういう活動をしているのか。名前は広く知られているが全貌が明らかになっていないPTAを、自分の経験も織り込んで縦横に解明していく。

PTAは、敗戦後にGHQが指導した教育民主化の理念と、戦前にあった学校後援会や保護者会・父兄会など旧態の組織とがない交ぜになった性格をもっている。それは私立・公立・国立別に組織され、幼稚園から高校まで、盲学校や聾学校、養護学校にも設置されている。また、原則的には市区町村郡・都道府県・国レベルの連合体を組織している。

その実態を、①歴史的な背景、②国の教育行政やほかの地域組織との関連、③共同体論や社会関係資本などとの関係で、薄皮をはぐように解説していく。
道徳の教科化、家族意識の強調など、戦後の平和主義からの逸脱を進める路線のなかで、親の評価も割れているこの巨大組織がどこへ向かうのかを含めて考察する。

著者プロフィール

岩竹 美加子(イワタケ ミカコ)

1955年、東京都生まれ。明治大学文学部卒業、ペンシルベニア大学大学院民俗学部博士課程修了。早稲田大学客員准教授、ヘルシンキ大学レンヴァル・インスティチュート研究員、ヘルシンキ大学教授などを経て、現在、ヘルシンキ大学非常勤教授(Dosentti)。共著に『ヨーロッパ人類学――近代再編の現場から』(新曜社)、編訳書に『民俗学の政治性――アメリカ民俗学100年目の省察から』(未来社)、編著書にNew Perspectives from Japan and China(University of Helsinki)、編書にGender, Mobility and Citizenship in Asia(University of Helsinki)など。

目次

はじめに

序章 PTAとは何か――東京都杉並区立A小学校のケースから:二〇〇一―〇三年
 1 入会への圧力
 2 地区班
 3 ベルマーク
 4 役員と委員
 5 PTA連合
 6 PTA的公共性
 7 A小学校の現在――二〇一六年二月

第1章 PTAをめぐる横の組織
 1 町内会
 2 青少年育成委員会
 3 青少年委員

第2章 PTAをめぐる縦の組織
 1 杉並区立小学校PTA連合協議会
 2 東京都小学校PTA協議会
 3 日本PTA全国協議会
 4 文部科学省・内閣府・政府審議会

第3章 PTAの歴史
 1 小学校母の会
 2 大日本連合婦人会
 3 GHQによるPTAの導入
 4 サンフランシスコ講和条約発効後
 5 一九六〇年代から八〇年代
 6 二〇〇〇年以降の動向

第4章 地域主義、コミュニタリアニズム、ソーシャル・キャピタル
 1 喪失のレトリック――大日本連合婦人会の機関誌「家庭」から
 2 家庭教育と学校教育
 3 地域喪失の言説
 4 地域とは何か
 5 コミュニタリアニズムとソーシャル・キャピタル

終章 未完のプロジェクトとパラドックス
 1 母の会と大日本連合婦人会――未完のプロジェクトの実現
 2 地域――未完のプロジェクト
 3 母の会と後援会
 4 自発的服従と協力

あとがき