融解と再創造の世界秩序

相関地域研究 2
融解と再創造の世界秩序

村上 勇介 編著, 帯谷 知可 編著
A5判 216ページ 並製
定価:2600円+税
ISBN978-4-7872-3400-1 C0336
奥付の初版発行年月:2016年03月/書店発売日:2016年03月18日

在庫あり
「新しい中世」へと国際情勢が向かっているという認識のもと、秩序形成をめぐる諸国家のせめぎ合いや、諸制度が国境を超えてグローバル化に影響を及ぼすダイナミズムを、中東や中東欧諸国、ラテンアメリカの政治・経済の事例から照らし出す。

版元から一言

冷戦終結後、急激に加速したグローバル化は20世紀的な秩序を融解させて、政治的・経済的な国家間の関係性は劇的に変容した。しかし、アメリカの国際的地位の低下と中国の台頭、中東や東アジアでの緊張の増大などによって、新たな世界秩序が築かれようとしている。
本書では、対立・協調・追随・孤立などが錯綜する国際関係のアリーナのなかで、一定の領域に影響力をもつ強大な国家が複数併存する「新しい中世」へと国際情勢が向かっているという認識のもと、中東、中東欧諸国、ラテンアメリカなどの大国の周辺地域の事例から世界秩序を照射する。
秩序形成をめぐる諸国家のせめぎ合いや、諸制度が国境を超えてグローバル化に影響を及ぼすダイナミズムを、政治・経済の具体的な事例から析出する「相関地域研究」第2巻。

著者プロフィール

村上 勇介(ムラカミ ユウスケ)

1964年、長野県生まれ。京都大学地域研究統合情報センター准教授。専攻はラテンアメリカ政治研究、ラテンアメリカ地域研究。著書に『フジモリ時代のペルー』(平凡社)、編著に『21世紀ラテンアメリカの挑戦』(京都大学学術出版会)など。

帯谷 知可(オビヤ チカ)

1963年、神奈川県生まれ。京都大学地域研究統合情報センター准教授。専攻は中央アジア近現代史、中央アジア地域研究。共編著に『中央アジア』(朝倉書店)、共著に『社会主義的近代化の経験』(明石書店)、『イスラーム地域の国家とナショナリズム』(東京大学出版会)など。

目次

プロローグ 覇権大国不在の無秩序な世紀の到来 村上勇介/帯谷知可

第1部 国家の動態、地域の変容

第1章 ボーダースタディーズからみた世界と秩序――混迷する社会の可視化を求めて 岩下明裕
 1 ボーダースタディーズの三つのアプローチ
 2 世界の秩序を読み解く
 3 日本と周りの秩序を読み解く

第2章 中東の地域秩序の変動――「アラブの春」、シリア「内戦」、そして「イスラーム国」へ 末近浩太
 1 「三十年戦争」の構図による「安定」
 2 「アラブの春」がもたらした「不安定」
 3 「イスラーム国」の台頭と中東の地域秩序の再編

第3章 動揺するヨーロッパ――中東欧諸国はどこに活路を求めるのか? 仙石 学
 1 中東欧をめぐる国際環境の変化
 2 国際環境の変化への中東欧諸国の対応

第4章 ラテンアメリカでの地域秩序変動 村上勇介
 1 アメリカ合衆国の覇権
 2 二十世紀終わりの歴史的転換と地域秩序再編
 3 二十一世紀のまだら模様

第2部 越境のダイナミズム

第5章 「非・国民」――新たな選択肢、あるいはラトヴィアの特殊性について 小森宏美
 1 境界の流動性と人々の自己認識
 2 「非・国民」とは何か
 3 国籍の意味の変化

第6章 ロック音楽と市民社会、テレビドラマと民主化――社会主義時代のチェコスロバキア 福田 宏
 1 「正常化」時代の市民社会と娯楽
 2 前提としての一九六〇年代、転換点としての六八年
 3 グレーゾーンとしてのロック
 4 テレビドラマと体制の安定化

第7章 社会主義的近代とイスラームが交わるところ――ウズベキスタンのイスラーム・ベール問題からの眺め 帯谷知可
 1 ウズベキスタンのイスラーム・ベール――パランジからヒジョブへ
 2 ベールをめぐる言説の形成
 3 ウズベキスタンのベールをめぐる言説
 4 「新しいベール」

第8章 資本主義の未来――イスラーム金融からの問いかけ 長岡慎介
 1 イスラーム金融とは何か
 2 イスラームと資本主義
 3 イスラーム金融の叡智

エピローグ 地域から世界を考え、世界から地域を考える――相関地域研究の試み 帯谷知可/村上勇介

索引