青弓社ライブラリー 78
社会一般
鈴木 智之(著)
四六判 176ページ 並製 定価 1600円+税 ISBN978-4-7872-3366-0 C0336 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2013年12月 書店発売日 2013年12月08日 登録日 2013年11月22日
神戸連続児童殺傷事件など、1990年代の犯罪事件の新聞報道を追い、「心の闇」という言葉が犯罪や「犯人」と結び付くことで、私たちの社会に他者を排除するモードをもたらしたことを明らかにする。そのうえで、他者を理解し関係を再構築していく方途を示す。
はじめに 第1章 「心」を「闇」として語るということ 1 犯罪報道と秩序意識 2 「動機の語彙論」という視点 3 動機をめぐる問いの焦点としての犯罪 4 「逸脱の文化」の消失と「心の闇」言説の浮上――一つの仮説的視点 5 「動機規則」の適用――理解可能なものと不可能なものの一線を引く行為 第2章 「心の闇」の浮上――酒鬼薔薇事件(一九九七年)までの新聞報道から 1 「闇」として語られ始めた「心」 2 露出する闇――地下鉄サリン事件(一九九五年) 3 解き明かされざる「闇」――酒鬼薔薇事件(一九九七年) 4 「心の闇」の修辞学 第3章 「動機」が「わからない/わかる」と言うこと――「酒鬼薔薇聖斗」をめぐる大学生たちの語りから 1 「心」は本当に「闇」のなかなのか? 2 「「どうして」を教えて」――ある新聞記事に基づく〝問いかけ〟の試み 3 動機がわかる/わからない、と語ること 4 なぜ「動機はわからない」のか――動機規則の構成 5 自己提示の方法としての〝わからない/わかる〟と言うこと 6 代替的な説明言語の要求 第4章 「心の闇」の定着――一九九八―二〇〇〇年の新聞報道から 1 リンクの広がりとイメージの定型化――一九九八―九九年 2 母親たちの「心の闇」――音羽幼女殺害事件(一九九九年) 3 「十七歳」の「心の闇」――二〇〇〇年の「酒鬼薔薇フォロワー」たち 4 「心の闇」の行方――法改正の動きのなかで 第5章 対話としての動機の語り 1 〈他者〉との遭遇 2 「物語モード」と「論理―科学的モード」 3 「起動原因」と「構築原因」 4 疾患カテゴリーが動機理解に取って代わるときに起こること 5 秩序意識の変容 6 物語の力を呼び戻すために おわりに
品切れ・重版未定