社会一般
坂田 勝彦(著)
四六判 240ページ 上製 定価 3000円+税 ISBN978-4-7872-3339-4 C0036 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2012年05月 書店発売日 2012年05月23日 登録日 2012年04月26日
療養所への隔離を余儀なくされたハンセン病者は、戦後社会でどのように実存を模索して、療養所の内外の他者との関係性を編み上げてきたのか。多磨全生園の入所者の声を丹念に聞き取り、さまざまな日常の営みや実践からそのリアリティーと歴史に迫る。
序 章 ハンセン病療養所で生きるという経験をめぐって 1 全生園というフィールド――ハンセン病療養所の過去と現在 2 ハンセン病問題とは何か――既存研究のアプローチから 3 隔離を生きる経験への社会学的接近――日常的実践と共同性 4 調査の概要と本書の構成 第1章 隔離を構成する機制と実践――戦前期の全生園の日常から 1 「全生村」という呼称の奥行きをめぐって 2 病者を取り巻く近代の機制 3 構造的制約を異化する実践 第2章 〈社会復帰〉という実践――ハンセン病療養所退所者の経験から 1 ハンセン病療養所における「戦後の変化」とは何か? 2 〈社会復帰〉という実践をめぐって 3 希望と困難 4 〈社会復帰〉経験の深層へ――ある退所経験者の軌跡から 5 複数の関係性と自己を生きる 第3章 自己の確認をめぐる攻防――ハンセン病療養所にとどまった人々の「戦後」経験 1 もう一つの「戦後」 2 「転換期」を生きる――ある「職工」の生活史にみる生業と自己 3 さまざまな葛藤のなかで 4 実存の模索――ある「職工」の生業に対する語りから 5 人生を物語ることの意味 第4章 療養所の内外へと広がる社会的世界――「ふるさとの森」作りの取り組みから 1 迫り来る死を前にして 2 戦後日本の社会変動と全生園入所者のリアリティー 3 解体する療養所の在り方――全生園での「作業」「自治」の崩壊 4 「ふるさとの森」作りの取り組み――緑化活動とその意味 5 「ふるさとの森」の現在が提示するもの 第5章 「終わり」と向き合う――全生園入所者による歴史記述の諸実践から 1 全生園入所者による歴史記述をめぐって 2 「終わり」と向き合う――ハンセン病療養所入所者の一九七〇年代 3 過去の想起と共同性 終 章 〈想い〉の地形学――ハンセン病問題の過去・現在・未来 1 全生園北部の一角から現前する共同性 2 〈共生〉への試論 あとがき
品切れ・重版未定