岩渕 功一(編著)
A5判 240ページ 並製 定価 2000円+税 ISBN978-4-7872-3316-5 C0036 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2010年06月 書店発売日 2010年06月23日 登録日 2010年06月15日
多文化共生政策の一方で、文化差異の承認や多文化社会としての国家構想の議論は等閑視されている。地域やコミュニティ現場での他者との邂逅や共生の実践、メディアの表象などを検証して、管理・統治に抗するいま/ここでの文化の多様性の内実を照らす。
序章 多文化社会・日本における〈文化〉の問い 岩渕功一 1 多文化主義の退場と多文化共生の台頭 2 多文化共生のうさんくささ 3 多文化主義なき多文化共生 4 本書の構成――多文化な問いをめぐって 第1章 「多文化共生」をめぐる議論で、「文化」をどのように語るのか? 原 知章 1 多文化共生推進プランの意義と問題点 2 本質主義的文化観への批判 3 反本質主義的文化観の両義性 4 新宿区・大久保地区における共住懇の事例 第2章 「連帯としての多文化共生」は可能か? 塩原良和 1 福祉多文化主義と新自由主義的「改革」 2 「多文化共生」の制度化への批判の意図せざる帰結 3 本質主義批判の意図せざる帰結 4 対等な関係性づくりのプロセスとしての「多文化共生」 5 多文化共生に向けた「協働」 6 「協働」から「連帯」へ? 第3章 「地域イメージ」、コミュニティ、外国人 五十嵐泰正 1 場所をめぐるアイデンティティの闘争 2 多文化的な現実と「下町」の抵触 3 二重の規範として機能する「コミュニティ」 4 「いいかげんさ」を鍛え直す 第4章 岡山在日物語――地方都市で生活する在日三世の恋愛・結婚をめぐる経験から 川端浩平 1 個人化を推進する二つの力学と回帰するエスニシティ 2 地方における多文化共生の問題点 3 在日三世の恋愛と結婚をめぐる物語 4 地方の多文化共生をめぐる理論と実践の方向性 第5章「国民」と社会の再編をめぐる相克――「電子移民」の台頭と「中流」階級の憂鬱 清水知子 1 「中流」幻想の破綻と「日本的経営」の行方 2 グローバル・シティの形成と「電子移民」の台頭 3 OLのサバイバル術を問う――ドラマ『ハケンの品格』から『OLにっぽん』へ 4 多文化主義はネイションの想像力を超えられるか 第6章 ジャーナリズムに見る文化作用――二〇〇六年改正入管法報道の検証 林 香里 1 ジャーナリズムの盲点――言説の「文化」依存性 2 ジャーナリズムに作用する二つの「文化」 3 入管法改正とその背景 4 分析の方法 5 三つの報道フレームとその関係 6 考察と展望 第7章 FMわぃわぃのメディア実践――ディアスポラ、メディア、公共空間 伊藤 守 1 小さな放送局のはじまり 2 長田区のなかのコミュニティFM局 3 定住外国人のメディア実践とアイデンティティ 4 多文化「共生」とは
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