村上 孝止(著)
四六判 328ページ 上製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-3255-7 C0036
品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2006年04月 書店発売日 2006年04月10日 登録日 2010年02月18日
街頭の「防犯」ビデオ、事件の容疑者や被害者の顔写真、高速道路での記録撮影──監視カメラに包囲された現代社会でいつでも・誰でも侵される肖像権を膨大な裁判記録で整理し、撮影も公表も本人の承諾が必要だと訴える。初版後の判例も収めた増補・決定版。
増補版の序文
はじめに──撮影・公表についての各国ルールの概観
1 早々と判例を作った国=フランス
2 肖像の保護には消極的な国=イギリス
3 プライバシー権で処理する国=アメリカ
4 法律を作って対処した国=ドイツ
5 日本は一世紀遅れでフランスを後追い
第1部 刑事法廷で生まれたルール
第1章 警察官による撮影から始まった
1 撮影を違法とした最初の判決
2 練り上げられていった写真への視点
3 最高裁が「みだりに撮影されない自由」を承認
第2章 無断で撮影できる場合がある
1 警察官が無断撮影できる条件を模索
2 警察官による無断撮影の条件が確定
3 一般私人への拡張も十年で完了
第3章 撮影の目的と撮影の必要性・緊急性
1 労務対策のための撮影
2 訴訟準備のための撮影
3 特殊な目的での撮影
4 アマチュア写真家の事件現場の撮影
5 報道目的での撮影
第4章 相当の方法での撮影が要求される
1 法令に違反しての撮影
2 拒否を無視しての強引な撮影
3 至近距離からの撮影、フラッシュ撮影
4 身をひそめての撮影
第5章 撮影行為が刑事事件になるとき
1 警察・検察による証拠写真の押収
2 肖像の公表が名誉毀損罪になる場合
3 自救行為はどこまで認められるか
4 刑事事件判決が新聞界に大きく影響
5 刑事事件が写真週刊誌全体に影響
6 関係各界は判決にきわめて敏感
7 刑事裁判では明らかにされなかった点
8 刑事法廷で生まれたルールの概要
第2部 民事法廷で生まれたルール
第1章 肖像は無断撮影・公表から守られる
1 撮影・公表とも承諾を得るのが原則
2 確認された「承諾が必要」の原則
3 私有地での撮影も承諾が必要
4 私有財産の無断撮影・公表も権利侵害
5 写真が名誉を傷つけるとされていた
6 撮影がプライバシーを侵害することがあった
7 写し取る手段は写真だけではない
8 保護されるのは肖像だけではない
9 肖像の営業的利用には承諾が不可欠
第2章 撮影・公表の承諾に必要とされる条件
1 撮影・公表への承諾のあり方が明らかに
2 撮影・公表への承諾は被撮影者を拘束する
3 明らかな拒絶がなければ承諾とみなされる
4 撮影への承諾が公表も承諾したとはかぎらない
5 契約内容を超えれば承諾のない公表
6 撮影時の承諾は第三者にも有効
7 ヌード・水着写真の公表は改めて承諾が必要
第3章 無断で撮影・公表できる場合がある
1 民事の肖像権侵害事件に初の最高裁判決
2 模索の続いた無断撮影の判断基準
3 下級審の基準の中心は刑法二三〇条の二
4 刑法基準だけでは足りなかった
5 公益目的での肖像の無断利用は可能だった
6 公共性・公益目的を欠けば承諾は不可欠だった
7 明らかになった最高裁の肖像権像
第4章 受忍限度内の方法での撮影・公表が必要
1 受忍限度内と思われる撮影・公表方法
2 受忍限度を超すと思われる撮影・公表方法
第5章 写真の撮影・公表と民事事件
1 民事でも目立つ警察関連の事件
2 敗訴はしたが警察の提供写真を改変
3 公共性の認められる人物の肖像
4 法廷の撮影要求が訴訟対象に
5 判決への出版業界の反応は例外的
6 テレビも無風地帯ではなくなった
7 著名人の肖像をめぐるトラブルが続発
8 民事法廷で生まれたルールのあらまし
第3部 法廷の外で生まれたルール
1 「お貸し下げ写真」から代表取材へ
2 公人のプライバシーにかかわる写真
3 犯罪少年の写真は掲載しないルール
4 残虐写真は掲載しないルール
5 解禁になったヘアヌード写真
6 人命が危機にある場面の撮影
7 犯罪・事故などの被害者の写真
8 刑事法廷の代表撮影
9 人物写真をめぐるそのほかのルール
あとがき
写真・肖像権関係判決一覧
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