西日本生命倫理研究会(編)
四六判 352ページ 上製 定価 3000円+税 ISBN978-4-7872-3230-4 C0036 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2004年04月 書店発売日 2004年04月23日 登録日 2010年02月18日
急速な進歩を遂げる現代医療は、患者をたんなる医療客体=操作対象へとおとしめた。技術革新の波にゆらぐいのちと向き合った、心と体の一体性を重視した医療の実践は可能なのか。先端医療・法律・倫理の現場から人間の生死の未来像を鋭利に照射する論考集。
まえがき 三島淑臣 第1部 生命倫理の深化のために 第1章 生命倫理の回顧と展望 加茂直樹 1 研究の発端 2 人間の出生と生殖──過去から現代へ 3 子どもを産む/産まないに関して 4 新しい生殖技術の利用に関して 5 出生前診断に関して 第2章 多胎減数手術を検討する──女性の自己決定権か 伊佐智子 1 多胎減数手術の臨床的状況 2 多胎減数手術に関する諸外国の動向とその法的取り扱い 3 日本における多胎減数手術の法的議論 4 多胎減数手術についての倫理的議論 第3章 生殖補助医療における生命倫理──一九九〇年イギリスと旧西ドイツの法律を中心として 丸山マサ美 1 生殖補助医療の本質 2 先進諸国における生殖技術の対応 3 イギリスと旧西ドイツの委員会設立から立法化までの経緯 4 非婚姻者間の生殖補助医療の問題点 第4章 発症前診断における個人の権利と社会の権利 ダリル・メイサー[酒匂一郎 訳] 1 生命倫理と遺伝子的予測 2 発症のリスクを下げるためのスクリーニング 3 発症前診断と生殖の責任 4 保険 5 社会は普遍的なセーフティネットを提供する必要がある 6 雇用 7 社会の権利 第5章 死の決定──アメリカと日本の生命倫理概念の比較 ハワード・ブローディ[白浜雅司/酒匂一郎 訳] 1 積極的安楽死(Active Euthanasia) 2 幇助自殺(Assisted Suicide) 3 消極的安楽死(Passive Euthanasia) 4 間接的安楽死(Indirect Euthanasia) 5 尊厳死(Death with Dignity) 6 慈悲殺(Mercy Killing) 7 複合語 8 結論 第6章 人間は翼を持ち始めるのか?──近未来的人間改造に関する覚書 粟屋 剛 1 伝統的および現代的人間改造 2 近未来的ないし未来的人間改造 3 人間改造の背景──欲望・テクノロジー・文明 第2部 医療の現場と生命倫理 第7章 臨床倫理の考え方と課題 白浜雅司 1 生命倫理・臨床倫理という学問が成立した背景 2 臨床倫理とは何か 3 臨床倫理の考え方 4 臨床倫理の四分割法を使った分析法 5 臨床倫理の四分割法を使った具体的事例の検討 6 倫理的問題解決の障害とその対策──今後のさらなる発展のために 第8章 在宅ホスピスにおけるバイオエシックスの問題──告知・自己決定・QOLと希望 二ノ坂保喜 1 在宅ホスピスケアとは 2 「患者とともに歩む医療」の出発点としての告知 3 自己決定というけれど…… 4 QOLと希望 5 医師の役割の変化──おわりにかえて 第9章 「脳死」移植問題を考える──医療現場の感覚と生命倫理との乖離 松本文六 1 臓器移植の種々相と「脳死」移植の論点 2 そもそも「脳死」とは何を指すのか 3 脳低温療法が示すもの 4 移植の拡大とその問題点 5 「脳死」を前提とする臓器移植の問題点 第10章 現代医学におびやかされる生命 山口研一郎 1 日本の医学・医療の現状 2 生命科学をめぐるアメリカの現状 3 現代の医学はどこに向かっているのか──全生命の特許化 4 全生命の存在を危機に追い込む先端医学 あとがき 酒匂一郎
青弓社
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