川村 邦光(編著)
A5判 280ページ 上製 定価 3400円+税 ISBN978-4-7872-3224-3 C0036 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2003年11月 書店発売日 2003年11月20日 登録日 2010年02月18日
殺し/殺された結果としての死の意味を剥奪し、自国の戦死者だけを犠牲者として追悼し政治的に争奪する自閉的な心性の共同体である戦後日本。個別性を漂白して集合的な記憶=「英霊」として祭祀・顕彰する制度とその感情的・宗教的な基盤を分析する論考集。
はじめに──「戦死者のゆくえ」に向けて 川村邦光 1 二〇〇一年“戦死者のゆくえ” 2 戦死者を語ること/書くことの困難 3 戦死者の現れる場 4 殺し/殺された戦死者 I 戦争と戦死者の語りから 歌と墓と戦死者──日本・アメリカ合衆国・ロシアから 山折哲雄 1 二重橋・九段坂・浅草をめぐって 2 靖国神社と戦死者の霊 3 アメリカの戦死者と慰霊──リンカーン記念堂・アーリントン墓地 4 ロシアの戦死者──クレムリン城・レーニン廟・ロシア正教会 かわされ戦記──私の戦争体験 木田 元 II 戦死者の表象から 戦死者とは誰か 川村邦光 1 「戦友」から 2 八月十五日とは 3 戦死者とは誰か 戦死者という表象──戦後日本という時空間における 兵頭晶子 はじめに──問題の所在 1 戦死者と戦後、そして現在 2 「英霊」をめぐる諸問題 3 戦死者という表象 おわりに──戦死者論へ向けて 「事実」と「慰霊」──大岡昇平の戦争文学作品を題材として 野上 元 はじめに 1 「詩のようなもの」 2 「大きな壁画を描く」(『レイテ戦記』) 3 「事実」と「鎮魂」 おわりに III 戦死者の歴史と表象から 靖国神社と神社の近代 川村邦光 1 靖国神社の現在 2 戦死者の招魂祭と忠魂の誕生 3 「国家の宗祀」としての神社 4 東京招魂社・靖国神社の形成 5 神社改正と「国家の宗祀」 6 神社制度の展開と靖国神社の地位 7 靖国神社の宿命 八甲田山雪中行軍遭難事件と靖国神社合祀のフォークロア 丸山泰明 はじめに 1 遭難の概要 2 社会の反応、陸軍の対応 3 靖国神社合祀の議論 4 遭難事件とは何だったのか 5 遭難死者のゆくえ 戦死者と「郷土」/ナショナルな共同性 矢野敬一 1 「戦死者と郷土」という問い 2 公葬とナショナルな共同性 3 戦死者を「郷土」へと結びつける言説 おわりに 靖国と女──従軍看護婦と“九段の母”をめぐって 川村邦光 1 “白衣の天使”と“九段の母” 2 昭和初期の靖国神社 3 “女の軍人”としての日赤看護婦 4 従軍看護婦の表象 5 従軍看護婦をめぐる語り 6 靖国の従軍看護婦 7 “軍国の母”の表象 8 “九段の母”の表象 9 “軍国の母”をめぐる語り 10 “九段の母”をめぐる語り(1) 11 “九段の母”をめぐる語り(2) 12 “九段の母”をめぐる語り(3) 13 ナショナリズムのなかの女 IV 戦死者の記憶と現在から 祇園社と戦死者 永井芳和 記憶のゆくえ 杉原 達 戦死者の慰霊/追悼はどうあるべきか 中村生雄 1 「新追悼施設」をめぐる迷走 2 「英霊」たちの「人間宣言」 3 いくつもの慰霊/追悼へ あとがき 川村邦光
青弓社
品切れ・重版未定