博覧会絵はがきとその時代

博覧会絵はがきとその時代

高橋 千晶 編著, 前川 志織 編著
A5判 200ページ 並製
定価:2000円+税
ISBN978-4-7872-2067-7 C0021
奥付の初版発行年月:2016年10月/書店発売日:2016年10月21日

在庫あり
明治期から盛んに開催された博覧会は、昭和期に入ると爆発的に増えて毎年各地でさまざまなテーマで観客を集め、満州や朝鮮でも植民地支配の正当化と対外宣伝としても機能した。モダニズムに彩られた絵はがきを通して、近代化と植民地支配の時代を描く。

版元から一言

急速な近代化で産業振興と東アジアの植民地化を進めた100年前は、「博覧会の時代」でもあった。1906年の汽車博覧会をはじめ電気博覧会、東京勧業博覧会、全国子供博覧会など、各地で毎年、さまざまな博覧会を開催した。そればかりか、満州大博覧会や始政20周年記念朝鮮博覧会などのように、植民地支配の正当化と対外宣伝としても機能し、集客していた。

人びとは、日常とは異なるイベント観覧のみやげや記念に絵はがきを買い求め、家族・知人にその興奮ぶりを書き送った。東京勧業博覧会では5カ月間で15万通の絵はがきが投函されたことからも、熱狂ぶりが見える。

「夢のような社会」を展示した熱狂の時代を、産業振興、植民地、消費文化、都市文化、地域振興に大きく分類し、さらに建築、広告、写真、伝統、女性、戦争などのコラムも補足して、多数の絵はがきをカラーで紹介しながら「その時代」をたどる。

著者プロフィール

高橋 千晶(タカハシ チアキ)

1973年生まれ、京都文教大学講師。共訳書にジル・モラ『写真のキーワード』(昭和堂)、論文に「日本近代写真のグローバリゼーション」(「美術フォーラム21」第32号)、「メディアのなかの「家族写真」」(「美学芸術学」第30号)など。

前川 志織(マエカワ シオリ)

1976年生まれ、京都工芸繊維大学美術工芸資料館職員。論文に「都市新中間層にとっての「でろり」」(「美学」第58巻第3号)、「「複製」としての麗子像」(『生誕120周年記念岸田劉生展』)など。

目次

はじめに――博覧会と絵はがき 高橋千晶

第1章 産業振興と鉄道 大平奈緒子
 汽車博覧会(一九〇六年〔明治三十九年〕九月―〔巡回〕)
 電気博覧会(一九一八年〔大正七年〕三月二十日―五月二十日→十日間延長で五月三十日まで)
 工業博覧会(福岡市)(一九二〇年〔大正九年〕三月二十日から五十日間)
 電気大博覧会(一九二六年〔大正十五年〕三月二十日―五月三十一日)
 大礼奉祝交通電気博覧会(一九二八年〔昭和三年〕十月一日―十一月三十日〔二日間の会期延長があり十二月二日まで〕)
 昭和産業博覧会(一九二九年〔昭和四年〕三月二十日―五月十三日)
 上越線全通記念博覧会(長岡市)(一九三一年〔昭和六年〕八月二十一日―九月三十日)
 第三回化学工業博覧会(一九三一年〔昭和六年〕三月二十日―四月十日)
 姫津線全通記念・産業振興大博覧会(一九三六年〔昭和十一年〕三月二十六日―五月五日)

文士・美術家たちの博覧会 山田俊幸
 拓殖博覧会(東京)(一九一二年〔大正元年〕)
 東京大正博覧会(一九一四年〔大正三年〕)
 家庭博覧会(東京)(一九一五年〔大正四年〕)
 上越線全通記念博覧会(長岡市)(一九三一年〔昭和六年〕)

博覧会と伝統 井並林太郎

第2章 対外宣伝と植民地 高橋千晶
 京城博覧会(一九〇七年〔明治四十年〕八月八日―九月十五日)
 日英博覧会(一九一〇年〔明治四十三年〕五月十四日―十月二十九日)
 明治記念拓殖博覧会(東京、一九一二年〔大正元年〕十月一日―十一月二十九日/大阪、一九一三年四月二十一日―六月十九日)
 市制十周年記念大連勧業博覧会(一九二五年〔大正十四年〕八月十日―九月十八日)
 始政二十年記念朝鮮博覧会(一九二九年〔昭和四年〕九月十二日―十月三十一日)
 日本海海戦二十五周年記念海と空の博覧会(一九三〇年〔昭和五年〕三月二十日―五月三十一日)
 満州大博覧会(一九三三年〔昭和八年〕七月二十三日―八月三十一日)
 国防と産業大博覧会(一九三五年〔昭和十年〕三月二十七日―五月十日)
 始政四十周年記念台湾博覧会(一九三五年〔昭和十年〕十月十日―十一月二十八日)
 輝く日本大博覧会(一九三六年〔昭和十一年〕四月十日―五月三十一日)
 高山本線開通記念日満産業大博覧会(一九三六年〔昭和十一年〕四月十五日―六月二十日)
 岐阜市主催躍進日本大博覧会(一九三六年〔昭和十一年〕三月二十五日―五月十五日)

博覧会と写真 高橋千晶
 写真絵はがき――記録・報告するメディア
 写真壁画――宣伝・扇動するメディア

博覧会と戦争 福間良明
 戦意高揚と博覧会
 擬似戦場体験のメディア
 「聖戦」の綻び

第3章 家庭と消費文化 前川志織
 東京勧業博覧会(一九〇七年〔明治四十年〕三月二十日―七月三十一日)
 全国子供博覧会(一九〇八年〔明治四十一年〕十月一日―二十一日)
 第一回児童博覧会(一九〇九年〔明治四十二年〕四月一日―五月三十一日)
 東京文化博覧会(一九二五年〔大正十四年〕九月十五日―十月十四日)
 皇孫御誕生記念こども博覧会(一九二六年〔大正十五年〕一月十三日―二月十四日)
 皇孫御誕生記念京都こども博覧会(一九二六年〔大正十五年〕七月一日―八月二十日)
 万国婦人子供博覧会(一九三三年〔昭和八年〕三月十七日―五月十日)
 日本婚礼進化博覧会(一九三六年〔昭和十一年〕三月二十日―五月十日)

博覧会と女性――万国婦人子供博覧会に注目して 石田あゆう
 女性と消費生活
 アンビバレントな女性消費者

博覧会と美術――「博覧会の美術館」を糸口に 前川志織

第4章 建築と都市文化 天内大樹
 東京大正博覧会(一九一四年〔大正三年〕三月二十日―七月三十一日)
 平和記念東京博覧会(一九二二年〔大正十一年〕三月十日―七月三十一日)
 日本建築協会住宅改造博覧会(一九二二年〔大正十一年〕九月二十一日―十一月二十六日)
 大大阪記念博覧会(一九二五年〔大正十四年〕三月十五日―四月三十日)
 御大礼記念国産振興東京博覧会(一九二八年〔昭和三年〕三月二十四日―五月二十二日)
 大礼記念京都博覧会(一九二八年〔昭和三年〕九月二十日―十二月五日)
 復興記念横浜大博覧会(一九三五年〔昭和十年〕三月二十六日―五月二十四日)
 名古屋汎太平洋平和博覧会(一九三七年〔昭和十二年〕三月十五日―五月三十一日)

博覧会とデザイン――絵はがきデザインから見る博覧会 大平奈緒子

博覧会と建築 天内大樹

第5章 観光と地域振興 熊倉一紗
 全国産業博覧会(一九二六年〔大正十五年〕四月一日―五月十日)
 全国産業博覧会(一九二七年〔昭和二年〕九月十一日―十月二十日)
 東亜勧業博覧会(一九二七年〔昭和二年〕三月二十五日―五月二十三日)
 大日本勧業博覧会(一九二八年〔昭和三年〕三月二十日―五月十八日)
 東北産業博覧会(一九二八年〔昭和三年〕四月十五日―六月三日)
 産業と観光の大博覧会(一九三二年〔昭和七年〕四月十二日―六月五日)
 伊賀文化産業城落成記念・全国博覧会(一九三五年〔昭和十年〕十月十二日―十一月十日)
 新興熊本大博覧会(一九三五年〔昭和十年〕三月二十五日―五月十三日)
 国産振興四日市大博覧会(一九三六年〔昭和十一年〕三月二十五日―五月十三日)
 国際温泉観光大博覧会(一九三七年〔昭和十二年〕三月二十五日―五月十三日)
 北海道大博覧会(一九三七年〔昭和十二年〕七月七日―八月三十一日)

博覧会と観光 千住 一

博覧会と広告 熊倉一紗

昭和戦前博覧会年表 安田政彦