戦時期の集団体操と〈身体の国民化〉体操の日本近代

越境する近代 14
体操の日本近代 戦時期の集団体操と〈身体の国民化〉

佐々木 浩雄 著
A5判 376ページ 上製
定価:3400円+税
ISBN978-4-7872-2063-9 C0320
奥付の初版発行年月:2016年02月/書店発売日:2016年02月04日

在庫あり
ラジオ体操、建国体操、日本産業体操、大日本国民体操、国鉄体操――全国で考案された集団体操の実態を史料を渉猟してあぶり出し、娯楽や健康を目的にしていた体操が国家の管理政策に組み込まれるプロセスを追って、「体操の時代」のナショナリズムを問う。

版元から一言

「国民よ、体操せよ」――1930年代、野球人気や民間のスポーツ熱、オリンピックへの熱狂が起こる一方で、国民全体への体育の必要性が議論され、娯楽・健康・鍛錬などさまざまな目的で集団体操が考案された。ラジオ体操を筆頭として、建国体操、日本産業体操、大日本国民体操、国鉄体操などが、全国の学校・工場・地域で実践されたのである。
その後、東京オリンピックの中止、紀元二千六百年の各種イベントに呼応して体操をめぐる議論も活発化し、アジア・太平洋戦争に突入して以降、敗戦までは国民錬成・体力向上の旗を掲げた国家の管理政策に体操は組み込まれていく。そして、「敵性スポーツ」への批判と反比例して、武道とともに体操は国民生活へと広がり、総力戦体制下の日本に根づいていった。
戦中から敗戦までの体操の実態を膨大な史料を渉猟してあぶり出し、GHQによる体操の「戦争責任」追及や戦後の「復活」までをも見通す。「体操の時代」としての近代日本とナショナリズムを問う労作。

著者プロフィール

佐々木 浩雄(ササキ ヒロオ)

1975年生まれ。龍谷大学文学部准教授。専攻は体育学・スポーツ史。共著に『幻の東京オリンピックとその時代』(青弓社)、『体育・スポーツ史の世界』(渓水社)、『近代日本の身体表象』(森話社)、『オリンピックが生み出す愛国心』(かもがわ出版)など。

目次

はじめに

第1部 民衆体育の時代――一九三〇―三六年

第1章 体操普及の課題と集団体操の可能性
 1 近代日本の幕開けと体操の導入
 2 ラジオ体操の普及と民衆体育論
 3 全日本体操連盟の設立と体操界の変化

第2章 アトラクティブな体操の発見と集団体操の国家的イベント化
 1 ニルス・ブック一行の来日
 2 日本体操大会の開催

第3章 工場体育としての体操普及
 1 産業衛生施策としての体操普及
 2 産業衛生協議会答申と工場鉱山基本体操の創案
 3 産業衛生協議会と暉峻義等
 4 工場体操の展開とその効果

補論 修養団の「国民体操」

第2部 国民体育の時代――一九三七―四一年

第4章 国民体育の振興と集団体操
 1 日中戦争の勃発と国民精神総動員運動の展開
 2 厚生省の体力政策と集団体操の展開

第5章 体操の乱立と「紀元二千六百年」奉祝行事での集団体操
 1 体操の乱立
 2 工場体操の変容
 3 紀元二千六百年の集団体操

第6章 国民精神の涵養と体操の日本化
 1 「体操の日本化」の背景
 2 松本学と建国体操
 3 体操と国民精神涵養

第3部 国民錬成の時代――一九四二―四五年

第7章 アジア・太平洋戦争下の鍛錬体操
 1 総力戦体制での体操の位置づけ
 2 鍛錬体操の奨励
 3 戦争末期の労働者・農民の体操

第8章 東京帝国大学の「全学鍛錬体操」
 1 学生競技の統制と鍛錬的運動の奨励
 2 東京帝国大学の全学鍛錬体操推進の実態

第9章 戦後の体操
 1 体操への規制と指導者たちの反応
 2 体操の復活
 3 体操の戦前と戦後――まとめにかえて

あとがき

索引