つながらなかった大東亜共栄圏帝国日本の交通網

帝国日本の交通網 つながらなかった大東亜共栄圏

若林 宣 著
A5判 244ページ 並製
定価:2000円+税
ISBN978-4-7872-2060-8 C0021
奥付の初版発行年月:2016年01月/書店発売日:2016年01月12日

在庫あり
日本帝国を盟主として企図した大東亜共栄圏、その鉄道と海運・港湾、航空の交通網はズタズタで、兵站・物資流通は確保できないままだった。膨大な史料から、台湾・朝鮮・樺太・満洲の植民地と東南アジアの実態を描き、共栄圏という侵略政策の虚構をあばく。

版元から一言

『憎悪の広告』『神国日本のトンデモ決戦生活』『「愛国」の技法』の早川タダノリさん推薦!

早川タダノリ「広大な領土があっても交通網はダメダメだった(驚愕)」
「中学校の地図帳で「戦時中の日本の領土」を眺めて、ものすごくデカいことに驚いたものです。広大な大東亜共栄圏でしたが、実は交通網がズタズタ。制空権・制海権を奪われる前から、満足に物資も運べないありさまでした。鉄道、飛行機、船による戦時下の輸送ネットワークを総合的に検証した傑作です!」

イギリスとアメリカの植民地支配からアジアを解放して、東アジア・東南アジアに日本を盟主とする共存共栄の新たな国際秩序建設を目指したとする「大東亜共栄圏」。
しかし、日本・満洲国・中国の経済圏・国防ライン=大東亜共栄圏を支えるはずの鉄道と海運・港湾、航空という交通網はズタズタで、ネットワークは築けないまま、軍事侵略を拡大していった。そして、アジアと日本国内に大量の死者を生み出して敗戦へと突き進んだ。
太平洋戦争の敗因は兵站・流通網が確保できなかったからだと言われてきたが、どう確保できていなかったのか、その実態は実はあまり知られていない。膨大な史料を読み解き、台湾・朝鮮・樺太・満洲という植民地の鉄道・海運・航空の交通網の内実=「張り子の虎」を丹念に描く。

著者プロフィール

若林 宣(ワカバヤシ トオル)

1967年、千葉県生まれ。歴史・乗り物ライター。雑誌やムックで航空史や歴史的乗り物に関する記事を執筆。著書に『戦う広告』(小学館)、『羽後交通横荘線』『羽後交通雄勝線』(ともにネコ・パブリッシング)など。

目次

まえがき

第1章 朝鮮・台湾・樺太そして満洲の交通網形成
 1 日本領有前の状況から
 2 日本による朝鮮領有
 3 台湾領有と植民地戦争
 4 日本人による朝鮮海運界の掌握
 5 内地―朝鮮間の鉄道連絡船
 6 大阪―済州島間航路の大競争
 7 朝鮮半島の鉄道創業
 8 台湾の港湾と鉄道
 9 日本の資本主義と朝鮮の鉄道
 10 樺太
 11 日本が東清鉄道南部支線を手に入れるまで
 12 満鉄の成立
 13 欧亜連絡と鉄道
 14 満鉄と大連港
 15 三線連絡運賃問題
 16 中東鉄道の満洲国への譲渡

第2章 民間航空路の整備
 1 臨時軍用気球研究会
 2 アメリカ人、芝浦―横浜間で郵便物を運ぶ
 3 陸軍機、手紙を積んで東京―大阪間を飛ぶ
 4 帝国飛行協会、懸賞金つきの郵便飛行を企てる
 5 繰り返される懸賞金つき郵便飛行
 6 民間主導で始まった定期航空
 7 関東大震災
 8 定期郵便飛行の開始
 9 日本航空輸送の出発
 10 郵便逓送の本格的態勢
 11 夜間郵便飛行の開始
 12 花咲くも国策会社に翻弄されたローカル定期航空路
 13 内地―台湾間連絡
 14 大日本航空の成立

第3章 空路は海外へ
 1 陸軍による所沢―奉天間飛行演習
 2 日本航空の大阪―大連間飛行
 3 満洲航空の成立
 4 熱河侵攻と満洲航空
 5 軍事的進出を背景に実現した日中定期航空路
 6 南に延びる航空路
 7 陸軍の輸送飛行隊と化した民間航空
 8 南方航空輸送部
 9 輸送任務の内容と問題
 10 民間機による作戦飛行の例
 11 満洲航空による航空測量――関東軍第一航空写真隊
 12 大日本航空の猛輸送
 13 海軍の徴傭輸送機隊

第4章 南洋群島の交通網
 1 日本領有前のミクロネシアと海上交通
 2 日本占領直後の南洋渡航
 3 日本郵船の四航路
 4 離島間航路
 5 環礁内航路
 6 福岡―上海線の蹉跌
 7 南洋統治と海軍航空
 8 南洋航空路開設へ
 9 広がる大艇の航空路
 10 南洋での民間航空の終焉

第5章 内モンゴルの交通事業と関東軍
 1 関東軍のチャハル進出
 2 察東事件と満洲航空
 3 関東軍と徳王
 4 チャハル盟の成立と自動車交通事業
 5 内モンゴルでの航空基地設営
 6 ルフトハンザ航空との提携と欧亜航空連絡の発案
 7 永淵三郎の提案と日独提携
 8 華北に進出する日系航空事業――恵通航空の設立
 9 外交上と統帥上の混乱
 10 綏遠事件の勃発
 11 敗戦とエチナ特務機関
 12 日独航空連絡と安西着陸場をめぐって

第6章 中国と南方占領地での鉄道の復旧と経営
 1 近代中国での鉄道建設
 2 満鉄の華北進出
 3 日中戦争と鉄道の被害
 4 橋梁修理
 5 華北交通と華中鉄道の設立
 6 大東亜縦貫鉄道構想とその非現実性
 7 鉄道に対する妨害・襲撃とその対策
 8 南方戦線の鉄道隊
 9 マレー作戦の概況
 10 マレー作戦の進展と鉄道部隊
 11 クリアン河橋梁修理
 12 橋梁の修理速度について
 13 ビルマ作戦と鉄道占領
 14 占領下の鉄道

参考文献

あとがき