復刊選書 7
一柳 廣孝(著)
四六判 216ページ 並製 定価 2000円+税 ISBN978-4-7872-2019-6 C0321 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2006年09月 書店発売日 2006年09月11日 登録日 2010年02月18日
パラダイムの一大転換を迫られた明治期、科学とオカルトの境界に狂い咲いた催眠術。魅力といかがわしさとをただよわせ、明治の人々の心をつかんだ「術」の盛衰をたどり、民衆を「国民」として統合していく国家の軌跡を重ね合わせて解読する。
はじめに I 催眠術の登場──合理と非合理のはざまで 1 催眠術の移入 「こっくりさん」の向こう側/催眠術の移入/アカデミズムと催眠術/催眠術と小説・演芸/催眠術ブームの断絶 2 異形としてのメスメリズム メスメリズムの移入/メスメリズムとスピリチュアリズム/メスメリズムと「電気」 3 「幻術」の発見 催眠術と幻術のあいだ/幻術としての「忍術」/近藤嘉三『幻術の理法』『魔術と催眠術』/気合術師、浜口熊嶽 4 「幻術」の歴史 幻術の歴史/幻術とキリシタン/『動物電気概論』と『魔術と催眠術』の〈絵〉 II 催眠術ブームの背景 1 明治三十六年の催眠術 催眠術ブームの再来/「脳」と「神経」と催眠術/催眠術書の中身/催眠術と心霊学/「万能薬」としての催眠術/催眠術の「霊」的理論 2 幸田露伴「術比べ」の周辺 催眠術は「邪法」か「科学」か/「狐」というメタファー/憑物信仰と催眠術/写真・玉突き・催眠術 3 アカデミズムと権力/制度 『催眠術及ズッゲスチオン論集』の刊行/心理学・精神医学の眼差し/心理学と精神医学の「学」的附置/犯罪としての催眠術/宮崎県の私為医業被告事件 III 変質する催眠術 1 森鴎外「魔睡」の象徴性 鴎外と「魔睡」/明治四十二年の催眠術/誘発される「性」 2 「千里眼事件」の波紋 千里眼事件と催眠術/メディアの眼差し/福来友吉の挫折/「催眠術」から「霊術」へ IV 霊術の時代 1 霊術のバックグラウンド 大槻快尊「精神療法の話」/心理学の「心霊」からの撤退/高橋五郎の「心霊哲学」/マイヤーズの「潜在意識」/精神分析の危うさ/禅と催眠術 2 多面体としての霊術 村上辰午郎の催眠術普及運動/多面体としての霊術/霊術の営業戦略/太霊道と大本教/「神経病」の時代のなかで 3 霊術の行方 庶民の眼差し/霊術ブームの終焉 おわりに──世紀末と現代日本 あとがき
品切れ・重版未定