押井守論荒野のおおかみ

荒野のおおかみ 押井守論

上野 俊哉 著
A5判 200ページ 並製
定価:2800円+税
ISBN978-4-7872-1051-7 C0010
奥付の初版発行年月:2015年05月/書店発売日:2015年03月31日

在庫あり
押井守は「大戦間期」あるいは「戦争と戦争の間の時期」の作家ではないか――。この刺激的な仮説のもとに押井監督の作品群をあらためて見つめ、読み込む。閉塞する現実、滅びゆく日本の社会と文化に「抜けない棘」のようにはたらきかける批評の挑発。

版元から一言

押井守は「大戦間期」あるいは「戦争と戦争の間の時期」の作家ではないか――。
この刺激的な仮説のもとに『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』『機動警察パトレイバー2』『GHOST IN THE SHELL』『イノセンス』『スカイ・クロラ』といった押井監督の作品群をあらためて見つめ、読み込む。作家自身も考えていなかったようなつながり、表現するテクストそのものの無意識を探るための手がかりとして、日本の戦後思想や世界中の批判理論や思想、さらに井筒俊彦の宗教哲学やヘルマン・ヘッセの文学などに戦略的な「迂回」をしてみせる。
ポストモダン以降の文化や表現のとがった部分がモダンそのものに内在しているというプロセスを掘り起こし、閉塞する現実、滅びゆく日本の社会と文化に「抜けない棘」のようにはたらきかける批評の挑発。

著者プロフィール

上野 俊哉(うえの としや)

1962年、宮城県生まれ。和光大学表現学部総合文化学科教授。専攻は社会思想史、文化研究。著書に『思想の不良たち――1950年代 もう一つの精神史』(岩波書店)、『思想家の自伝を読む』(平凡社)、『アーバン・トライバル・スタディーズ――パーティ、クラブ文化の社会学』(月曜社)、『ディアスポラの思考』(筑摩書房)、共著に『実践カルチュラル・スタディーズ』(筑摩書房)、『戦争と平和』(徳間書店)、共訳書にポール・D・ミラー『リズム・サイエンス』(青土社)、ポール・ギルロイ『ブラック・アトランティック――近代性と二重意識』(月曜社)など。

目次

序章 犬と狼の間で

第1章 アニメとしての映画、映画としてのアニメ――「作家」も「ジャンル」も投げ捨てろ
 1 世界を絵コンテとして見る
 2 安易な映画的引用を拒否
 3 押井守が提示している“謎の構造”

第2章 アニメ的オートマトン――息を吹き込まれた自動機械/人形としてのアニメ
 1 問題設定
 2 アニメでの無分節的なもの
 3 「天上遊行」と神話創成の力
 4 無意識のアーカイブ/倉庫としての「アラヤ識」
 5 顔の諸問題
 6 水面/鏡面と結晶(クリスタル)化の諸問題

第3章 犬人は狼男の夢を見ない
 1 犬人という形象
 2 リトリーブの政治学

第4章 転回のメタルスーツ
 1 戦後日本とサブカルチャー
 2 ファシズムとメタル/メディア・スーツ
 3 腐食する言葉の鎧
 4 転向/転回の想像力
 5 偽史への転回

第5章 荒野のおおかみ
 1 Born to be Wild
 2 魔術劇場としての世界

資料1 押井守監督作品・著書リスト

資料2 本書中に登場したテレビアニメなどの作品リスト

あとがき