ユニバーサル・ミュージアムの新展開ひとが優しい博物館

ひとが優しい博物館 ユニバーサル・ミュージアムの新展開

広瀬 浩二郎 編著
A5判 312ページ 並製
定価:2000円+税
ISBN978-4-7872-0061-7 C0000
奥付の初版発行年月:2016年08月/書店発売日:2016年08月31日

在庫あり
いま注目を集めるユニバーサル・ミュージアムとは何か。美術館でのさわる鑑賞プログラムやさわる展示、さわるワークショップの実例、観光やまちづくりに役立つユニバーサル・デザインのあり方を、多様な現場の人々が力強いメッセージを込めて報告する。

版元から一言

博物館といえば、見て楽しむものと思われがちだ。だが、視覚だけでなく五感を重視し、展示物や収蔵品などに「さわる」ことができれば、視聴覚障害者や子どもたちにも学びの機会を提供することが可能になる。そして、そういった「さわる文化」を広めていけば、視聴覚障害者への支援だけではなく、博物館のあり方や社会の「常識」を問い直す契機にもなるはずだ――。

いま注目を集めるユニバーサル・ミュージアムとは何か、その実践例にはどのようなものがあるのかを紹介するのが本書の目的である。美術館でのさわる鑑賞プログラムやさわる展示、また博物館・美術館だけではなく地域でおこなわれるさわるワークショップの実例、観光やまちづくりに役立つユニバーサル・デザインのあり方を、多様な現場の人々がコンパクトに、しかし力強いメッセージを込めて報告する。

障害者差別解消法が施行され、合理的配慮という考え方も広まりつつある。そのような社会背景も押さえながら、博物館から私たちの生き方を変えようとする提言に満ちた一冊。

著者プロフィール

広瀬 浩二郎(ヒロセ コウジロウ)

1967年、東京都生まれ。13歳のときに失明。2000年、京都大学大学院で文学博士号を取得。現在は国立民族学博物館准教授。専門は日本宗教史、触文化論。著書に『さわる文化への招待』(世界思想社)、『身体でみる異文化』(臨川書店)、編著に『さわって楽しむ博物館』(青弓社)など。

目次

はじめに 広瀬浩二郎

序章 全盲者の耳、ろう者の目――「障害」から生まれる身体知 広瀬浩二郎/相良啓子

第1部 美術館での多様な鑑賞プログラム――視覚障害者支援からユニバーサル・ミュージアムへ

第1章 対話を用いた教育プログラムの立案――美術館と盲学校の連携事業から 岡本裕子

第2章 『さわるアートブック』制作の課題と展望 藤島美菜

第3章 絵画への触覚的アプローチ――その限界と可能性 井口智子

第4章 「犬」が主人公の美術鑑賞にみる「ひとが優しい博物館・社会」の可能性 大髙 幸

第5章 ユニバーサル・ミュージアム論を取り入れた博物館実習 篠原 聰

第2部 さわる展示を作る――誰もが楽しめる博物館とは何か

第6章 みんなでつくる博物館のカタチ 中村千恵

第7章 触察による疱瘡絵の理解――立体コピーを活用した移動展示の試み 寺岡茂樹

第8章 実物をさわる体験――来館者の思いとその表現 藤村 俊

第9章 さわる展示の未来――南山大学人類学博物館の挑戦 黒澤 浩

第10章 学生のアイデアが博物館を変える!?――さわる展示の実践にむけて 原 礼子

コラム1 盲人文化と視覚障害者支援 広瀬浩二郎

第3部 博物館と社会をつなぐワークショップ――「見えない世界をみる」感性を育むために

第11章 縄文人の暮らしと現代アート――歴史を再発見・再創造する 堀江武史

第12章 遺跡を感じる――さわって楽しむ考古学の魅力 さかいひろこ

第13章 モノと人との対話を引き出す触発型ワークショップ――第五福竜丸展示館・触察ツアーを事例として 真下弥生

第14章 伝える手、つなげる手――制作者の立場から 宮本ルリ子

第15章 「想い」をつむぐワークショップ――「誰もが楽しめる」明日のために 鈴木康二

第4部 博物館から観光・まちづくりへ――いま、なぜユニバーサル・デザインなのか

第16章 ユニバーサルな観光地を目指して――北海道の大自然を体感するUDツアーの取り組み 三木 亨

第17章 ともに歩く、ともに楽しむ、ともに作る――目に見えない“大坂”を探るまち歩きプランの企画 山根秀宣

第18章 被災地ツーリズムのユニバーサル化への試み 石塚裕子

第19章 娯楽・余暇の幅を広げる――見えない恐怖を共遊する「マーダーロッジ」の衝撃 大石 徹

第20章 まちをさわる 堀江典子

コラム2 さわる文化が生み出す二つの“なみ” 広瀬浩二郎

終章 みんなが楽しめる博物館を作ろう 小山修三

おわりに 広瀬浩二郎