友好と対立のはざまで図書館をめぐる日中の近代

図書館をめぐる日中の近代 友好と対立のはざまで

小黒 浩司 著
A5判 282ページ 上製
定価:3600円+税
ISBN978-4-7872-0059-4 C0000
奥付の初版発行年月:2016年04月/書店発売日:2016年04月13日

在庫あり
満鉄図書館などの設立過程をたどり、日本の図書館関係者が果たした役割――和製漢語「図書館」が中国で使われているような友好親善と、表裏の関係としての文化侵略という両面から、日中間の政治に翻弄された図書館の近代期を解明する図書館史研究の成果。

版元から一言

古来から日本と中国は漢字文化で深くつながっていた。「図書館」という日本生まれの漢語が中国で使われているように、その交流は連綿と現在に至っている。
しかし、近代期に両国は厳しく対立するようになり、図書館もそのはざまで揺れ動いた。中国での日本の図書館事業は、中国の人々からは「文化侵略」の一手段とみなされ、ついにはテロの対象にまでなった。
満鉄図書館の歴史などから、中国での近代公立図書館の成立に果たした衛藤利夫ら日本の植民地図書館人の友好親善と文化侵略という両面をも見据えて、日本と中国の政治の間で翻弄された図書館の草創期を解明する。

著者プロフィール

小黒 浩司(オグロ コウジ)

1957年、東京都生まれ。作新学院大学教員。日本図書館文化史研究会、日本図書館情報学会、日本図書館研究会などの会員。共著に『人物でたどる日本の図書館の歴史』(青弓社)、編著に『図書館資料論』(東京書籍)、『図書・図書館史』(日本図書館協会)など。

目次

はじめに

第1部 友好から対立へ――近代期の日中図書館界

第1章 和製漢語「図書館」の中国への移入
 1 和製漢語の誕生
 2 和製漢語「図書館」
 3 「清議報」誌上の「図書館」
 4 呉汝綸の『東游叢録』

第2章 湖南図書館の創立――中国での近代公立図書館の成立と日本
 1 清末の湖南省
 2 湖南図書館成立前史
 3 『調査叢記』と湖南図書館
 4 湖南図書館の問題点
 5 その後の湖南図書館

第3章 対支文化事業による図書館事業――日中関係修復への模索
 1 「対支文化事業」と図書館
 2 北京近代科学図書館の成立と展開
 「対支文化事業」関係年表

 第4章 日中戦争と北京近代科学図書館
 1 日中全面戦争下の活動
 2 拡大する戦争のなかで
 北京近代科学図書館関係年表

第2部 満鉄図書館の歴史

第5章 満鉄図書館史の時代区分
 1 第一期――草創期(一九〇七年四月―一九年十月)
 2 第二期――公共図書館期(一九一九年十月―三一年九月)
 3 第三期――建国工作期(一九三一年九月―三七年十二月)
 4 第四期――社業図書館期(一九三七年十二月―四五年八月)

第6章 大連図書館の成立
 1 初期の満鉄図書館
 2 大連図書館の公開
 3 大連図書館公開の背景

第7章 満鉄図書館協力網の形成
 1 満鉄図書館業務研究会の成立
 2 満洲事変下の活動
 3 「各館蒐書分担協定」の締結

第8章 満鉄児童読物研究会の活動――満鉄学校図書館史の一断面
 1 満鉄の教育事業と満鉄児童読物研究会
 2 満鉄児童読物研究会の事業
 満鉄児童読物研究会と関係諸機関の略年表

第9章 衛藤利夫――植民地図書館人の軌跡
 1 渡満
 2 建国
 3 離満
 満鉄図書館史年表

おわりに