怪異の時空 3
四六判 260ページ 並製
定価 2000円+税
ISBN978-4-7872-9241-4 C0395
在庫あり
奥付の初版発行年月 2016年12月 書店発売日 2016年12月21日 登録日 2016年10月21日
芥川龍之介や三島由紀夫、村上春樹、川上弘美らのテクストに現れる亡霊、ドラキュラ、オカルト、ノスタルジー、出産などの分析をとおして、近代における文化規範が怪異と合わせ鏡であることを解き明かす。怪談作家・黒木あるじへのインタビューはファン必読。
芥川龍之介や三島由紀夫、村上春樹、川上弘美らのテクストと、天皇制・植民地・ナショナリズムといったテーマが交差するとき、そこには〈他者〉としての怪異が浮上し、私たちを恐怖に陥れる。
亡霊、ドラキュラ、オカルト、ノスタルジー、出産などの分析をとおして見えてくる近代における文化規範が、怪異と合わせ鏡であることを解き明かす。怪談作家・黒木あるじへのインタビューも充実。シリーズ完結。
はじめに 一柳廣孝
第1章 実話怪談にとって「怪異」とは誰か:黒木あるじインタビュー 聞き手:茂木謙之介/一柳廣孝
第1部 怪異の機能
第2章 表現システムとしての〈怪異〉とノスタルジア――一九二〇年代の文学的想像力と「他者」の変容 副田賢二
1 震災と「〈死角〉空間」と〈怪異〉
2 表象の場としての「渚」の「女」たち
3 漏出する「匂」と「懐郷病」――〈怪異〉空間としての「玄鶴山房」
4 ノスタルジアとしての〈怪異〉と他者性のゆくえ
第3章 皇の奇跡――戦間期地域社会における〈瑞祥〉言説をめぐって 茂木謙之介
1 植民地における〈瑞祥〉言説
2 内地での〈瑞祥〉言説と天皇(制)をめぐる状況
第4章 弱者のために怨む――川村孤松『廻国行脚怪談百物語妖怪研究』について 谷口 基
1 反近代の世界観と人間理解
2 崩れゆく「百物語」/消失する語り手
3 弱者のために怨む
4 川村孤松とは何者か
第2部 〈外部〉のまなざし
第5章 芥川龍之介の文学と「世紀末的な不安」――地震・帝国・怪異 小谷瑛輔
1 芥川の時代の「世紀末的な不安」
2 芥川龍之介「疑惑」と濃尾大地震
3 朝鮮表象と関東大震災
4 晩年の志賀直哉オマージュと怪異
第6章 占領地に現れた“幽霊たち”――縮図としての火野葦平「怪談宋公館」 構 大樹
1 幽霊騒動の発生
2 リアリティーの所在
3 占領地の縮図
第7章 わたしたちのドラキュラ――横溝正史の『髑髏検校』と帝国主義 中川千帆
1 『ドラキュラ』批評と江戸の危機
2 西と東の出合いと文明vs非文明、科学vs魔術
3 男たちと帝国
4 演劇、歌舞伎とヴァンパイア
第3部 〈亡霊〉たちの現在
第8章 三島由紀夫とオカルト言説――「二・二六」表象をめぐって 松下浩幸
1 〈予言者〉としての三島由紀夫
2 三島由紀夫をめぐる「神話作用」
3 同時代のなかの二・二六事件
第9章 〈喪主〉としての語り――村上春樹「七番目の男」から 岡田康介
1 「怪談」と後日談
2 怪談会で語ること
3 鎮魂する「怪談」
第10章 ナラティヴの亡霊、あるいは川上弘美「花野」の亡霊論(hantologie) 高木 信
1 構成と特徴と
2 秩序と未練と
3 無関心と決断と
4 そら豆と神と
5 語りと亡霊と
第11章 女が語る〈産〉と怪異――三枝和子『曼珠沙華燃ゆ』における亡霊たちのフォークロア 倉田容子
1 「ねこざんまい」――「女性原理」の幻影
2 人口政策の近代史――「父権」の法
3 怪異化される〈産む性〉
4 雲ケ畑・式内厳島神社――再び「ねこざんまい」へ
おわりに 茂木謙之介
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