青弓社ルネサンス 2
芸術
小森 陽一(著)
A5判 338ページ 上製 定価 5000円+税 ISBN978-4-7872-9210-0 C0395 品切れ・重版未定
奥付の初版発行年月 2012年11月 書店発売日 2012年11月21日 登録日 2012年10月23日
明治期の西欧的な文体の導入は日本文学をどのように変化させ、解体し、新しい型を生み出したのか。二葉亭四迷や森鴎外などの小説を題材に、新しい文体と物語が誕生した時代をとらえ、表現することと読むこと、聴くことに目を向けて近代文学の始まりを問う。
序章 物語としての文体/文体としての物語 1 ジャンルの記憶 2 手法の露呈と表現の脱領属化 第1部 小説を書くということ 第1章 文体としての自己意識――『浮雲』の主人公 1 主人公の設置とジャンルの転換 2 立身出世型主人公の転倒 3 「反主人公(ルビ:アンチ・ヒーロー)」の誕生 4 内的対話としての自己意識 5 言葉を対象化するもう一つの言葉 第2章 『浮雲』における物語と文体 1 科白と地の文の葛藤 2 会話場面と物語の展開 3 自己認識の幻想性 4 メタ小説としての『浮雲』 5 内在的読者を生成する文体 6 相互葛藤的な文体の自己差異化 第3章 表現の理論/物語の論理 1 ベリンスキーと二葉亭 2 「只一の感動」の理論的可能性 3 ヘーゲルと朱子学の対峙 4 「霊感」と「理気」のはざまで 5 「偏執の気」としての文学 第2部 記憶を語るということ 第4章 結末への意志/結末の裏切り――嵯峨の屋おむろにおける物語と表現 1 独白体の発見 2 作中人物の内と外 3 語り手の位置の乖離 4 物語の結末と文体 5 傍観者の位置 6 物語の生成力と文体 第5章 結末からの物語――「舞姫」における一人称 1 自我構造の多層性 2 自己認識の複数性 3 外化した自己と内化した自己とのはざまで 4 他者の言葉との対峙 第6章 人称的世界の生成――鴎外ドイツ三部作における文体と構成 1 人称的自我の選択 2 偏りとしての個別性 3 傍観者的一人称の可能性と限界 第3部 他者と関わるということ 第7章 独白の系譜――広津柳浪の初期作品を中心に 1 対話者を奪われた発話 2 自分に対する応答 3 他者性の介在 4 語りの審級の転換 第8章 くやしさと恥ずかしさ――「たけくらべ」における制度(ルビ:ラング)と言説(ルビ:ディスクール) 1 子どもたちの大日本帝国 2 学校に囲い込まれた遊び 3 資本制下の子どもたち 第9章 囚われた言葉/さまよいだす言葉 1 言葉の網目としての関係性 2 声にならない声 3 言葉としての家の内外 4 心の底に潜む言葉 第4部 言葉を受け取るということ 第10章 「こころ」を生成する心臓(ルビ:ハート) 1 呼びかけの人称性 2 「血」として受け継がれる言葉 3 家族の論理から自由になること 第11章 〈読む〉ことへの夢想 1 相互作用(ルビ:インタラクション)としての読書/同期化(ルビ:シンクロニゼーション)としての読書 2 異化作用(ルビ:オストラニエーニエ)としての読書/否定性(ルビ:ネガティヴィテ)としての読書 3 読書する場(ルビ:トポス)/読書する身体 4 意味としての言葉/イメージとしての言葉 5 意識としての読書/無意識としての読書 第12章 聴き手論序説 1 語り手/聴き手 2 伝え聞くこと/聞き伝えること 3 物語の〈場〉/〈場〉の物語 4 聴き手が書き手になるとき 5 音声言語と文字言語の境界 6 痕跡をたどる出会い 初出一覧 あとがき 増補版あとがき 解題 「小森陽一」という「事件」 島村 輝
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